ウシ胎児血清(FBS)と子ウシ血清(CS)【血清の使いわけ】

ウシ胎児血清(FBS)と子ウシ血清(CS)【血清の使いわけ】

この記事は約3分で読めます。

ウシ胎児血清と子ウシ血清は,何が違うんですか?

本記事は,このような「なぜ?どうして?」にお答えします.

 

こんばんは.

博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.

多くの人は,細胞培養用培地に牛の血清を添加していると思います.

牛の血清には,ウシ胎児血清子ウシ血清があるのはご存知ですか?

そもそも,どうして牛の血清なのか分かりますか?

本記事を読めば,これらの疑問が解決しますよ!

サマリー・牛の血清を使う理由は,集めやすいからです.

・ウシ胎児血清は,その名の通り「胎仔」の血清です.

・子ウシ血清は,その名の通り「(生後の)仔牛」の血清です.

牛の血清を使う理由

「牛の血清が一番良いから」というわけではありません.

やっぱり,ヒト由来の細胞ならヒトの血清を使うマウス由来の細胞ならマウスの血清を使うというのが理想です.

でも,動物種ごとに高品質の血清を集めることは困難ですし,お金がかかります

それでも,実験系によっては必要な場合もあるので,販売はされています.

ただ,単なる細胞の維持のために,動物種ごとの血清を使うのは現実的ではありません.

そこで,体が大きい牛の血液から血清を回収するようになりました.

馬でも良いのでは?

「体が大きい」という理由なら「馬」でも良いよね?

このように考える方もいると思います.

しかし,「体が大きい」だけではありません.

材料自体が豊富という背景もあるんです

簡単に説明すると,酪農で必要な牛は雌牛ですよね.

だって,雌しか乳を作れませんから(笑).

だから,雄牛は堕胎されてしまうか,子牛の段階で市場に出されてしまいます.

牛の血清は,その雄牛から回収されていることが多いです.

ウシ胎児血清(FBS)

その名の通り,牛の胎仔の血清です.

英語で,”Fetal bovine serum” というので,略して “FBS” と呼んでいます.

人(ラボ)によっては,”Fetal calf serum” を略して “FCS” と呼ぶこともありますね.

余談ですが,“Fetal” を “Fatal” と覚えている人がいます

和名は「致命的な血清」となるでしょうか(笑).

毒が入っているのか?

それとも病原菌がいるのか?

詳細はわかりません(笑).

くれぐれも,”Fatal bovine serum” とは言わないようにしましょう.

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子ウシ血清(CS)

その名の通り,仔牛の血清です.

英語で,”Calf serum” というので,略して “CS” と呼んでいます.

商品にもよりますが,生後1-12週齢の子牛由来のものが多い気がします.

FBSとの違い

CSは,FBSと比べて血清中の脂質量が多いです.

もし,皆さんの研究室に両方の血清がある場合は,見比べてみてください.

CSは,少し濁っていると思いますよ!

詳細は省きますが,脂質が多いと細胞の増殖能が低下します.

そのため,細胞の増殖能が強く増えすぎてしまう細胞で使用することがあります.

私の経験では,NIH/3T3 という細胞では,CSを使っていました.

子牛血清の使用例

新生子ウシ血清(NCS)もある

子ウシ血清と区別して,新生子ウシ血清というものもあります.

英語では,”Newborn calf serum” というので,”NCS” と呼びます.

商品にもよると思いますが,生後3-10日の子牛の血清を指すことが多いです.

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以上,ウシ胎児血清(FBS)と子ウシ血清(CS)の違いでした.

最後までお付き合いいただきありがとうございました.

次回もよろしくお願いいたします.

2020年4月2日 フール

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