【web3とは?】分散型科学(DeSci)の理解に必要な知識(1)

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【web3とは何か?】分散型科学(DeSci)の理解に必要な知識を解説(1)

この記事を書いた人
フール

元研究者で獣医師/博士(Ph.D.)/派遣社員の研究員や臨床獣医師を経験/研究職への復帰を考えているバイオブランク/学歴が「身分の指標」ではなく「職務能力・専門能力の指標」として機能することを願う者/DeSci(分散型科学)の勉強中

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本記事の内容・web3とは何か?

・web3の4つの特徴

・科学分野でweb3が活用されている場面

フールの登場

こんにちは.

元研究者のフールです.

分散型科学(DeSci)は,科学の在り方を根底から変えようとする革新的なムーブメントです.

2021年12月には “Call to join the decentralized science movement” というDeSciに関する寄稿がNatureに掲載されました.

また,2024年12月に同じくNatureで,ResearchHubの査読報酬に対するアプローチが特集されています.

著名な科学雑誌にDeSciやそのプロジェクトが掲載されていることから,その注目度の高さが想像できるでしょう.

今,暗号資産が査読プロセスや研究資金の獲得などの科学研究の課題にどんな影響を与えるのかに注目が集まっています!

ただ,その核心を理解するには,web3・ブロックチェーン・暗号資産など,新しいテクノロジーや概念についての基本的な知識が必要となってきます.

そこで,これから「分散型科学(DeSci)の理解に必要な知識」というテーマで以下の内容をまとめていきます!

  • web3とは?
  • ブロックチェーンとは?
  • 暗号資産とは?
  • トークンとは?
  • DAOとは?
  • DeFiとは?
  • walletとは?
  • Discordとは?

本記事では,web3がどのようなものかをまとめていきますね!

DeSciを理解するために知っておくべきキーワードを学び,未来の科学を紐解くための第一歩を踏み出しましょう.

なお,分散型科学(DeSci)の概要&キーワードを簡単にまとめた記事もありますので,お時間のある時に合わせてご覧ください.

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web3とは何か?

インターネットの歴史を3段階に分けたときの3番目をweb3と呼んでいます.

時期は曖昧で議論の余地がありますが…

  • Web1:1990年代中頃から2000年代初頭にかけて
  • Web2:2000年代中頃から2020年頃まで
  • web3:2021年頃~

こんな感じで時代区分されることが多い気がします.

これからWeb1・Web2・web3を順番に解説していきますね!

Web1

Web1は,1990年代中頃から2000年代初頭(1995年〜2004年頃)で,パソコンで情報を閲覧していた時代ですね.

Microsoft Windows 95が発表され,一般家庭向けにパソコンが普及し始めました.

この頃の特徴は,大半の人が情報を一方的に受け取る側だったことですね!

情報発信をする人は,政府・自治体・企業の上層部などの一部の人だけでした.

Web2

Web2は,2000年代中頃から2020年頃で,ブログ・SNS・YouTubeなどの登場により情報の流れが「双方向」になった時代です.

メインツールもパソコンからスマホに変わりましたね.

そして,口コミやレビューなどの個人の感想に注目が集まるようになり,新しい職業「インフルエンサー」が誕生しました!

web3

web3は,2021年頃から現在進行中で,情報を分散させて個人が管理する時代です.

Web2では,Google・Apple・Facebook・Amazon・Microsoft(GAFAM)などの大企業は,我々が日常生活で利用するIT関連サービスを提供しています.

そして,そのサービスを利用する際,私たちの生年月日・行動履歴・健康情報などの個人情報が企業に収集されています.

一部の企業に情報が集中し,企業はそれを所有・独占している「中央集権的な構造ですね!

次第に「一部の企業が個人情報を独占しても良いのだろうか?」と疑問を感じる人々が増えてきて,個人に情報を分散させて管理するシステムが登場します!

中央集権的な「分散型」のインターネットでプライバシーや透明性を強化して,企業が情報を独占・所有するこれまでの仕組みを変えよう!

これがweb3の時代です!

Web2の課題

Web2には色々な課題がありました!

企業は収集した情報を解析・売買したりしてビジネス活動を展開しています.

より良いサービスを提供するために仕方がないという考えもありますが…

情報が集中しているので個人情報が大規模に流出する懸念があります.

また,私たちの情報が知らぬ間に第三者に提供されることへの不信感・不快感もありますね.

さらに,オンラインコンテンツが企業の一方的な都合で消滅しちゃうという問題もあります.

これらの課題を解決することを目指しているのがweb3ですよ!

web3の4つの特徴

web3が注目されている理由は,web3が普及すればインターネットはもっと便利になると考えられるからです.

それでは,web3のどんな側面がインターネットを便利にするのでしょうか?

ココではそれをまとめていきますね!

web3には,次の4つの特徴がありますよ.

  1. 非中央集権的な仕組み
  2. 個人情報を管理するのはユーザー自身
  3. データの改ざん&盗難が困難
  4. サーバーダウンの回避

非中央集権的な仕組み

非中央集権的な仕組みとは,一言で言えば「1つの組織(1人の人間)が全てを管理しない仕組み」のことです.

Web2では,GAFAMを始めたとした一部の大企業が私たちのデータやサービスを管理していますね.

これを「中央集権的」と呼んでいます.

web3では,次回説明するブロックチェーンという技術を使うことで,データやサービスの管理をみんなで分散して行います.

これにより,「特定の組織(誰か)」に頼る必要がなくなるよ!

銀行を例に考えると分かりやすいかな.

Web2は「大きな銀行がすべてのお金を管理している状態」で,web3は「町の人みんなでお金の記録を持ち寄り,確認し合う状態」と表現できます.

分散することで,1つの組織が権力を持ちすぎたり,システムが壊れたりしたときのリスクを減らせるのが魅力的ですね!

1つの組織が権力を持ちすぎた例としては,第45代アメリカ合衆国大統領(トランプ氏)の個人SNSアカウントを,各社が永久(無期限)凍結させた事件が有名です!

サービス提供者の独断で,個人の発信機会を奪うことが許されるのか?

規約違反が繰り返されたという背景はありますが,それでも,企業が影響力の強い人の発言を制限したことに危機感を持った人は多かったですね.

個人情報を管理するのはユーザー自身

Web2では,SNSやオンラインサービスに登録するとき,名前・メールアドレス・性別などの個人情報をそのサービス提供会社に預けています.

そして,その情報がどのように使われているのか,すべてを把握するのは難しいですよね!

また,トランプ氏のように個人情報と結びついたアカウントが制限されるかもしれません.

一方で,web3では,個人情報の管理を自分自身で行うことが可能になります.

これを実現するのが,自分のデータやデジタル資産を保管するデジタル財布の「wallet(ウォレット)」で,この鍵を持っているのはあなた自身です.

サービスにアクセスするときも,自分のウォレットを使って必要な情報だけを提供することができ,余計な情報を渡す必要がありません!

情報のコントロール権がユーザー自身にあるため,特定の企業に個人情報が集中しません.

だから,中央集権的な構造に制限をかけることができるんですね!

そしてこれは,プライバシーをより安全に守ることにもつながります!

データの改ざんや盗難が困難

ブロックチェーンを使うことで,データやサービスの管理をみんなで分散していると書きました.

不特定多数のユーザーが分散して情報管理しているので,データを書き換える場合,サーバー全体に分散している全てのコピーを書き換える必要があります.

例えば,ユーザーAが特定のデータを変更する場合,そのデータのコピーを管理しているユーザーB~Zの許可が必要になります.

多くのユーザーは,Aの一方的な変更を「正しくない」と判断するため,データの変更はできません.

つまり,データの改ざんはほぼ不可能!

また,データは暗号化されて記録されるため,不正にアクセスしても内容を解読するのが非常に難しい仕組みになっています.

だから,ブロックチェーン上のデータは「透明性」と「信頼性」を持っており,改ざんや盗難のリスクが最小限に抑えられています!

サーバーダウンの回避

Web2では,データやサービスを中央サーバーに集中して管理しています.

このため,サーバーが故障したり,過剰なアクセスが集中したりすると,サービス全体が停止してしまう「サーバーダウン」が発生するリスクがありますね!

一方、web3のサービスは,ブロックチェーンを活用してデータを分散して保存します.

この分散型の仕組みによって,特定のユーザーが停止しても他のユーザーがその役割を補完できるため,ネットワーク全体がダウンすることはほとんどありません.

これは在庫を管理する倉庫をイメージすると分かりやすいですよ!

中央集権型の仕組みが「1つの倉庫にすべての在庫を保管する」のに対し,分散型は「全国各地の小さな倉庫に在庫を分散して保管する」のです.

1つの倉庫に問題が起きても,他の倉庫から商品を届けることでサービスを継続できますよね!

4つの特徴がWeb2の課題を解決

web3の4つの特徴が,Web2の課題を解決できることがイメージできたでしょうか?

分散型の仕組みを利用して,より信頼できるインターネットの仕組みを構築しようとしているのがweb3です!

最後は,web3が具体的にどのような場面で使われているか,身近な例科学分野の例を挙げて説明しますね!

web3が活用されている場面

身近な例は金融分野ですね!

皆さんは,預金したり送金したりするとき銀行を使いますよね?

銀行は中央集権型の取引所ですよ!

すべての取引や資産情報は銀行自身が管理していますし,その情報を保護・運用する責任を持つのも銀行ですね.

一方で,web3には非中央集権型の取引所があります!

ブロックチェーンを活用した分散型の取引所(DeFi)があって,次に示すような取引が可能なので,銀行よりも自由だと言われています.

  • 個人情報の提示や本人確認が不要
  • 24時間365日いつでも取引が可能
  • 利用者同士が直接やり取り可能(取引時間の短縮)

科学分野では,ブロックチェーンを活用して,自分の健康情報を自分だけが見られる形で管理するサービスが登場しているよ!

注目する点は,自身の健康状態に関するデータを第三者に提供する場合も,ユーザー自身がそれを判断できることですね!

例えば,ゲノム研究の民主化と分散化を進めているGenomesDAOというプロジェクトでは,暗号化されたDNAデータをユーザー自身が管理しています.

個人情報を守りながら,医療研究にも貢献することができるんですね!

web3の紹介は以上です.最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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2024年12月18日 フール

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