【DeFi(分散型金融)とは?】分散型科学(DeSci)の理解に必要な知識(6)
本記事の内容・DeFiとは?
・DeFiの特徴
・DeFiとCeFiの比較
・DeFiの注意点
・DeFiプロジェクトの具体例
こんにちは.
元研究者のフールです.
最近は「分散型科学(DeSci)の理解に必要な知識」というテーマでキーワードのまとめ記事を書いています.
前回のDAOの記事はコチラをご覧ください.
本記事では,DeFi(ディーファイ)についてまとめていきますね!
ブロックチェーン上の金融サービスを総称してDeFiと呼称しますが,大多数の人が初耳ではないでしょうか.
DeSciとは直接関係はありませんが,分散型科学(DeSci)プロジェクトのトークンを購入するときに必要となるシステムです.
DeFiの特徴だけでなく,注意点も紹介しますので,最後までお付き合いください.
なお,DeSciについてまとめた記事もありますので,お時間のある時に合わせてご覧ください.
DeFiとは?
DeFi(ディーファイ)は “Decentralized finance” の略で,日本語では「分散型金融」となります.
これまでの記事を読んだ方は,「分散型だから中央管理者が不在の金融システム」と分かるでしょう.
ブロックチェーン技術を利用して,管理者が不要な金融サービスを提供する!
これがDeFiが目指していることですね.
例えば,次のようなサービスが管理者不在で可能になりますよ!
- 送金(国内&国際)
- レンディング
- ステーキング
- 流動性の提供
- DEXで資産交換(スワップ)
DEXは “Decentralized exchange” の略で,日本語では「分散型取引所」と呼んでいます.
DeFiの中でも特に「資産の交換」に特化したサービスですね.
DeFiの特徴
DeFiには3つの特徴があります!
- 24時間365日,高速で送金可能
- 暗号資産やトークンの運用可能
- 利用に身分証明書などの提出不要
24時間365日,高速で送金できる
DeFiは中央管理者を介さないため,従来の銀行のような営業時間の制約がありません!
だから,24時間365日,いつでも利用可能です.
また,銀行による海外送金はこれまで1週間くらいかかったし,送金手数料も高いですよね…
でもDeFiなら,ブロックチェーン技術により,国際送金も迅速かつ低コストで行えます!
暗号資産やトークンの運用ができる
暗号資産やトークンを使ったレンディング・ステーキング・流動性提供など,多様な運用手段が提供されています.
- レンディング:暗号資産(トークン)を他者に貸し出して利息を得る
- ステーキング:暗号資産(トークン)を一定期間預けて報酬を得る
- 流動性提供:DEXに暗号資産(トークン)をペアで預け,取引を円滑にする
銀行に預金して金利がつくのと似ているよね!
でも,DeFiの利回りは銀行よりもずっと高いですよ.
利回り10%を超えるようなプランもたくさんあるからね!
ただし,価格の変動が激しいので,運用中に価格が暴落したり…
利息でもらえるトークンが預けたトークンとは別の銘柄だったり….
考えること・確認することも多いですね!
利用開始時に身分証明書などの提出が要らない
DeFiでは,アカウント作成やKYC(本人確認)が不要です.
次回説明するウォレットとインターネットがあれば,世界中どこからでもアクセス可能できますよ!
プライバシーを重視する人や銀行口座を開設できない人にとって大きなメリットですよね.
DeFiとCeFiの比較
ちなみに,銀行などのWeb2の金融システムは “Centralized finance (CeFi)” で「中央集権型金融」と呼んでいますよ!
DeFiとCeFiの違いは色々あるけれど,主要な違いは3つかな.
- 管理方式
- DeFi:スマートコントラクト
- CeFi:企業や金融機関
- ユーザーの責任
- DeFi:資産はユーザーが保管(セキュリティ意識が重要)
- CeFi:資産は管理者が保管(紛失や盗難リスクが軽減)
- リスクと規制
- DeFi:規制が未整備,コードの脆弱性を狙った攻撃のリスク
- CeFi:各国の規制に従う(安心感あり),倒産や不正のリスク
その他の違いも気になる人は次の表で確認してみましょう!
項目 | DeFi | CeFi(シーファイ) |
管理者 | スマートコントラクト,DAO | 企業や金融機関 |
透明性 | ブロックチェーン上で公開 | 内部情報は一般に非公開 |
アクセス | ウォレット&インターネットがあれば世界中どこからでも利用可能 | アカウント作成やKYC(本人確認)を必要とし,地理的制限もある |
規制 | 法的枠組みは未整備 | 法的な整備が進んでいる |
資産の保管 | ユーザー自身が管理 | 中央管理者が管理 |
手数料 | ブロックチェーンの運用手数料のみ | 取引手数料&管理費用などが上乗せ |
信頼性 | トラストレス | 中央管理者を信頼して利用 |
運営の柔軟性 | 変更はコミュニティの投票などが必要 | 管理者の裁量で迅速に対応可能 |
具体例 | DEX:Uniswap,PancakeSwap | CEX*:Binance,Coinbase,各種金融機関 |
*CEXは “Cecentralized exchange” の略(日本語では「中央集権型取引所」)です.
DeFiの注意点
続いて,DeFiの注意点を紹介しますね!
DeFiで注意してほしいことは5つかな.
- 日本の法律で認可✖
- 日本円に対応していない
- 所得計算が難しい
- 詐欺プロジェクトの存在
- 誤送金による資産喪失
日本の法律で認可されていない
日本の暗号資産取引所は,法律に基づいて事業者登録を受けています.
その法律は,利用者保護の仕組みを設けることを義務付けています.
一方,DeFi(DEX)は日本の法律で認可されていないので,利用者保護の仕組みも存在しません.
我々がDeFiを利用することは違法ではありません.
でも,利用中に何かトラブルが起きても,日本の法律は助けてくれないですね.
全て自己責任!
基本的には独力で対処しなければなりません.
日本円に対応していない
日本の暗号資産取引所は,日本円で暗号資産やトークンを購入することができます.
でも,DeFi(DEX)は法定通貨の取引に対応していません.
だから,日本円での取引もできません!
例えば,イーサリアムチェーン上のDeFiを利用するためにETHが必要ですが,法定通貨でETHを購入するには,国内または海外の暗号資産取引所(CEX)を利用しないとダメです.
納税に必要な所得計算が難しい
暗号資産(トークン)は,納税の対象になる所得の計算が難しいですね.
例えば,DEXでETHを別のトークンにスワップするとき,ETHが購入時の価格よりも上昇していれば利益が発生したことになるので,納税対象です.
暗号資産(トークン)を法定通貨に換金しなければ納税不要と考えている人もいるので,注意してくださいね!
所得計算を間違えて納税内容の不備が指摘されると,追徴課税を受けますよ!
不明な点は,管轄の税務署や税理士などの専門家に相談しましょう.
詐欺プロジェクト(スキャムコイン)の存在
スキャムコインとは,詐欺が目的で作られた暗号資産(トークン)です.
DeFi(DEX)で取り扱う暗号資産(トークン)の中にスキャムコインも紛れていますよ!
管理者が不在なので,事前の審査等でスキャムコインが排除されることもありません.
常に気を引き締めて,自分から怪しいコインには手を出さないことが大切ですね.
誤送金による資産喪失
繰り返しますが,DeFi(DEX)はすべて自己責任です!
だから,誤って送金しちゃった場合でも,それは戻ってきませんよ.
代表的なDeFiプロジェクト
最後に,代表的なDeFiプロジェクト(DEX)を紹介します!
私が使ったことがあるのは次の2つですね!
- Uniswap(ユニスワップ)
- PancakeSwap(パンケーキスワップ)
この2つは,DEXとしての歴史が長いし,預かり資産(Total value locked [TVL])も多いですよ.
TVLが多い=多くの人が利用している=信頼度が高い!
DEXを使用可能な状態にする方法(始め方)の紹介は別の記事でまとめますね!
参考資料の紹介
デジタルテクノロジー図鑑-単行本(ソフトカバー)
デジタルテクノロジー図鑑-Kindle版
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