2要因以上の統計解析のやり方【実験データの具体的な解析方法】

EZRでTwo-way-ANOVA
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2要因以上の統計解析のやり方【実験データの具体的な解析方法】

 

2種類以上の薬を組み合わせて投与したデータがあるんだけど,統計解析のやり方はどうするのかな?

本記事は,このような疑問にお答えします.

 

こんにちは.

博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.

前回は,3群以上の統計解析のやり方をまとめました.

今回も同じく3群以上の統計解析ですが,ちょっと複雑ですよ(笑).

なぜなら,要因が2つ以上だからです.

「要因が2つ以上」という意味は,次の図をご覧ください!

2要因以上の実験例

こういった実験デザインは複雑なので,可能ならば要因を1つに絞り込んだ方が良いのですが,それでも実施せざるを得ない時はあります.

この記事では,マウスの体重データを例に要因が2つ以上の実験データの解析方法をお示しします.

本記事を読み終えると,要因が2つ以上の実験データにも臆することなく統計解析が出来るようになりますよ!

 

サマリー・要因が2つ以上の実験データには,二元配置分散分析(Two-way ANOVA)を行います.

・Two-way ANOVAは,データが正規分布しており,さらに等分散であることが条件です.

・Two-way ANOVAは交互作用の有無を見つけることができます.

マウスの平均体重を比較

学生時代に行った実験で,次のようなものがありました.

  1. マウスを9群に分ける.
  2. それぞれに異なる処置を行う.
  3. 各群の体重を測定し,体重の増加量を比較する.

その時のデータは,以下の通りです.

薬剤C薬剤D生食
薬剤A0.520.470.40
0.560.480.45
0.550.510.40
0.540.490.42
0.550.490.42
薬剤B0.520.560.48
0.470.580.43
0.470.550.40
0.490.560.44
0.480.560.42
生食0.510.580.35
0.520.520.42
0.500.500.40
0.510.530.39
0.510.520.40

これから上記データを使って,実験データの解析方法をまとめます.

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検定の流れ

3群以上の統計解析なので,いきなり群間比較は行いません.

まず多群の差の検定を行い,群間に差があるかどうかを検定します.

この時点では,どの群間に差があるのか分かりません.

さらに,交互作用の有無についても判断しなければなりません

検定を行う前に考えること

これまで同様に,検定の前に考えることが4つあります.

  • データは間隔変数か?
  • データは正規分布していると仮定できるか?
  • データ間に対応はあるのか?
  • データの分散は等しいか?

ただ,この記事で紹介する二元配置分散分析は,データが正規分布しており,群間のデータの分散も等しいことが前提です.

それ以外のデータの場合は…ごめんなさい.

私も経験が無いので分かりません.

多群の差の検定二元配置分散分析

(Two-way ANOVA)

???
データの特徴間隔変数間隔変数

順序変数

間隔変数間隔変数

順序変数

データ間の対応無し無し有り有り
正規分布の仮定出来るできない出来る出来ない
等分散の仮定出来るできない

二元配置分散分析(Two-way ANOVA)

それではEZRを使って二元配置分散分析(Two-way ANOVA)を行いましょう!

エクセルでデータファイルを次のように入力します.

二元配置分散分析のデータ準備

※IDは必須ではありません.

これをCSVフォーマットで任意のフォルダに保存して準備完了です.

用意したファイルをEZRで読み込み,次の操作を行います.

EZRでTwo-way-ANOVA

クリックすると,次のような画面になります.

EZRで二元配置分散分析

目的変数は体重の増減なので,それに該当する “ΔBW” を指定します.

因子は, “Factor_1” と “Factor_2” を指定します.

さらに「交互作用の解析も行う(群別変数が3個以下の場合)」にもチェックを付けましょう!

OKをクリックすると,結果がでます.

アウトプットは4種類あります.

1つ目は,各群の平均値を示すアウトプットです.

2つ目は,各群の標準偏差を示すアウトプットです.

3つ目は,各群のサンプル数を示すアウトプットです.

4つ目は,Two-way ANOVAの結果です

4つの確率pが計算されました.

大切なのは下側3つのp値なので,それを順に見ていきましょう!

1つ目の要因の解析結果

「Factor1.Factor_1」は,薬剤AまたはBの主効果を表します.

このp値と有意水準α(α=0.05)を比べると,確率pは有意水準αよりも大きいですね!

よって,薬剤A,B,生理食塩水の間には有意差があるとは言えません.

2つ目の要因の解析結果

「Factor2.Factor_2」は薬剤CまたはDの主効果を表します.

このp値と有意水準α(α=0.05)を比べると,確率pは有意水準αよりも小さいですね!

よって,薬剤C,D,生理食塩水の間には有意差があると言えます.

交互作用の解析結果

「Factor1.Factor_1:Factor2.Factor_2」は,薬剤A (or B)×薬剤C (or D)の交互作用を表します.

このp値と有意水準α(α=0.05)を比べると,確率pは有意水準αよりも小さいですね!

よって,薬剤A (or B)の投与と薬剤C (or D)の投与の間には交互作用があると言えます.

交互作用とは?

交互作用とは,異なる処置の組み合わせによる効果の違いです.

例えば,「薬剤A と薬剤Cを併用投与すると,薬剤Aを単独投与するよりも有効である」みたいな相乗効果のことを指します.

交互作用は薬剤に制限されません.

男性(雄)と女性(雌)の違いや年齢の違いが影響することもあります.

何が交互作用を発現するのか分からないので,2要因以上の分散分析では交互作用の解析は必須です!

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Two-way ANOVAの群間の比較

続いて,post-hoc検定についてまとめます.

これには各論があります.

交互作用がある場合交互作用が無い場合です.

交互作用がある場合

交互作用がある場合は,各水準間の単純比較ができません.

今回は交互作用があると判定されたので,Factor_1だけで多重比較(Factor_2だけで多重比較)ということができません.

そこで,次のようにグループを9つ(要因を1つ)に再編します.

GroupFactor
1生理食塩水+生理食塩水0.350.420.40.390.4
2Drug-A+生理食塩水0.40.450.40.420.42
3Drug-B+生理食塩水0.480.430.40.440.42
4生理食塩水+Drug-C0.510.520.50.510.51
5生理食塩水+Drug-D0.580.520.50.530.52
6Drug-A+C0.520.560.550.540.55
7Drug-B+C0.520.470.470.490.48
8Drug-A+D0.470.480.510.490.49
9Drug-B+D0.560.580.550.560.56

そして,この状態で群間比較を行います.

エクセルでデータファイルを次のように入力します.

これをCSVフォーマットで任意のフォルダに保存して準備完了です.

用意したファイルをEZRで読み込み,前回のやり方で多重比較を行ってください!

今回はコントロール群との比較を行うDunnett法を選択しました.

結果は次の通りです.

EZRでDunnett法

薬剤Cのみ,薬剤Dのみ,薬剤CまたはDとの併用をした群と対照群との間で有意な差があることが分かりました!

交互作用が無い場合

交互作用がない場合は簡単ですよ!

各水準間の単純比較を行えば良いで.

もし今回のデータで「交互作用がない」と判定されたら,Factor_2だけで多重比較を行います.

Factor_1は,薬剤A・B・生理食塩水の間には有意差があるとは言えないので実施しません.

EZRでの操作方法は,前回の記事を参考にしてください!

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今回は,3群以上且つ要因2つ以上の統計解析方法をまとめました.

いかがでしたか?

今回も,EZRを使いました.

EZRの使い方は,以下の記事でまとめていますので,そちらをご覧ください.

無料統計ソフトEZRの使い方【インストールから解析まで】
記事では無料統計ソフトEZRの使い方をまとめました.ソフトのインストールからデータ解析までを写真を交えながら説明しています.

最後までお付き合いいただきありがとうございました.

次回もよろしくお願いいたします.

2021年2月13日 フール