遠心機の回転数と遠心機のクラス【遠心機の分類】

遠心分離機の分類
この記事は約5分で読めます。

遠心機の回転数と遠心機のクラス【遠心機の分類】

 

遠心機の使い分け

遠心機とか高速遠心機って,どうやって使い分けるの?

本記事は,このような「なぜ?どうして?」にお答えします.

 

こんにちは.

博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.

私の職場で,以下のような指示があります.

高速遠心機でペレッティングして.

遠心機でペレッティングして,その上清を回収して.

これを聞いていた私の同僚が,「遠心機とか高速遠心機の使い分け基準って何?」と質問してきました.

その同僚は,「この操作は高速遠心機でする」というルールがあり,そのルールに沿って遠心機を使い分けていると考えたのでしょう.

結論を言いますと,「この操作は高速遠心機でする」という公式なルールはありません

 

私たちは,職場にある遠心機の特徴(最高回転数または最大遠心力)を把握しています.

そして,特定の操作に必要な回転数(または遠心力)も互いに認識しています.

要は,目的の回転数に対応している遠心機が,私の職場では高速遠心機だったというだけです.

とは言え,初めのうちは何らかの指標は欲しいところです.

私の経験に基づく指標になりますが,遠心機のなんとなくの分類はあります.

本記事では,その「なんとなくの分類」をまとめました.

 

サマリー・低速遠心機は,最高回転数が 4,000 rpm 程度の遠心機です.

・高速冷却遠心機は,最高回転数が 20,000 rpm 程度の遠心機です.

・超遠心機は,最高回転数が 40,000 rpm 以上の遠心機です.

遠心機の回転数と遠心機のクラス【遠心機の分類】

多くの実験室には, 3 種類の遠心機があると思います.

① 低速遠心機
② 高速冷却遠心機
③ 超遠心機

遠心機の規格はメーカーによって異なるので,「高速遠心機は〇〇回転以上」という公式な定義はありません.

それでも,ざっくりな分類をすることは可能です.

低速遠心機

最高回転数が 4,000 rpm 程度の遠心機を指します.

培養細胞血球ビーズなど,試料中に含まれる粒子が比較的大きい場合,この遠心機でペレッティング法による分離が可能です.

機器によっては,冷却装置が付いているものもあります.

高速冷却遠心機

最高回転数が 20,000 rpm 程度の遠心機を指します.

10,000×g 程度の遠心力を得ることができます.

ローターが回転すると空気との摩擦が生じて発熱します

そのままでは,機器の故障試料温度の上昇の原因になってしまいます.

だから,強力な冷却機能を備えています

また,空気との摩擦を減らすために,ローター室内を減圧できる機器もあります.

冷却の必要な試料大腸菌など低速遠心機では分離できない粒子の分離に使用します.

低速遠心機でも発熱は起こります.でも,回転時間が短いことが多いので無視できることが多いです.冷却の必要な試料の場合や長時間の遠心操作が必要な場合は,高速冷却遠心機を使ってください.

超遠心機

最高回転数が 40,000 rpm 以上の遠心機です.

20,000 ~ 100,000×g の遠心力を得ることができます.

ローターを非常に高速で回転させるので,空気との摩擦で生じる発熱量もかなり大きくなります.

このレベルになると,冷却装置だけでは温度コントロールが難しくなるので,ローター室内を真空に保つことで空気との摩擦を減らす仕組みになっています.

タンパクの精製ウイルス粒子の精製細胞小器官の分離など,強大な遠心力を必要とするような試料の分離に使用します.

スポンサーリンク

遠心機の最高回転数と実際の最高回転数

遠心機は,使用するロータごとに,それぞれの最高回転数が決まっています.

それでは,常にこの最高回転数で遠心しても良いのでしょうか?

実は,最高回転数で遠心してはいけない場合があります.

サンプル密度によって最高回転数が制限される場合

遠心機ロータは,遠心サンプルの平均密度により最高回転数が制限されます.

特に,超遠心機で遠心分離をする際に注意しなければなりません.

詳しい数値は各々の説明書を確認して欲しいのですが,例えば,ショ糖密度勾配遠心分離法のように,チューブ全体の平均密度が大きくなることが想定される場合は,遠心機の減速が必要になります.

チューブの種類によって最高回転数が制限される場合

遠心管・スピッチ・遠沈管など,遠心分離機を使った実験や検査などに使用するチューブは多種多様です.

その素材により化学薬品に耐性のあるタイプ・耐衝撃性や強度に優れたタイプ・耐寒性や耐熱性のあるタイプなどがあります.

実験者は,使用用途や回転数などに合わせて使用するチューブを選ぶ必要があります.

特に「最大遠心力(×g)」の項目は要チェックですよ!

私も,安いからという理由で購入したチューブの最大遠心力が 4000 ×g だったという経験があります.

遠心機の遠心力が高くても,それにチューブが耐えられないと意味がないですよね(笑).
[ad]
最後までお付き合いいただきありがとうございました.

次回もよろしくお願いいたします.

2020年2月1日 フール