バイオ実験系に登場する単位【超まとめ】

実験でよく使う単位
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バイオ実験系に登場する単位【超まとめ】

 

実験系に登場する単位

単位についている ” p ” とか ” f ” って何ですか?

本記事は,このような「なぜ?どうして?」にお答えします.

 

こんにちは.

博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.

突然ですが,以下の文章をお読みください.

“Fifty ng of Eco R I-digested pUC 118 vector (25 fmol) was mixed with ...”

この文書は,あるキットの説明書の一部です.

皆さんは, “fmol” を何と読みましたか?

「エフモル」と読んだ方がおりましたら,本記事を是非最後まで読んで下さいませ~

 

サマリー・ライフサイエンス実験系によく登場する単位は,SI単位です.

・数字と単位記号の間には,スペースを入れます.

・SI単位ではない単位でも,使うことがあります.

国際単位

ライフサイエンス実験系によく登場する単位は,SI単位*1です.

SI単位は,正式な国際単位として認識されおり,キットや試薬の説明書だけでなく論文*2でも使用されます

*1Le Systeme International d’Unites(フランス語)の略です.

*2論文の投稿規定(Author’s instructionなど)には,単位の表し方も細かく記載されています.

 

SI単位は,ざっくり分けると3種類(SI基本単位・SI誘導単位・SI接頭語)に分類できます.

1つずつ見ていきましょう!

SI基本単位

SI単位系で表現する全ての単位は,7種類の基本単位に基づいています.

SI単位の基本単位

秒の単位記号は “sec” ではなく “s” だったり,温度の単位記号が “℃” ではなく “K” ということは,知らない方も多いのではないでしょうか?

*3「記号」と呼びますが,実際は全て文字で表現します.

*4数字と単位記号の間には,スペースを入れるのが基本です.ただ,後述しますが例外はあります.

SI誘導単位

SI基本単位以外の単位については,SI基本単位を持つ2つの量の「積」または「商」から定義されます.

計算により「導く」ので誘導単位と読んでいます.

以下で,ライフサイエンス実験系によく登場するSI誘導単位をいくつか紹介します.

SI単位のSI誘導単位の例

*5中黒点(·)と斜線(/)は使わず,べき指数を含めて半角英数 1 字分の空白を入れながらの連乗形式の表記することが決まりなので,それに従いました.

*61 J = 1 kg m2 s-2 = kg m s-2 mとすることができますね.よって,1 J = 1 N mとすることもあります.同様に考えると,1 N = 1 kg m2 s-2 m-1 = 1 J m-1となりまし,圧力や仕事率にも応用できます.

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SI接頭語

例えば,0.000000001 mol という表記をどう思いますか?

読みにくいし,書くのも面倒ですよね.

ゼロの数を間違えたりする原因にもなります.

この解決策として単位記号の前に接頭語をつけることになっています.

単位の前につける接頭語

冒頭の “fmol” は「エフモル」ではなく,「フェムトモル」と読みますよ!

例外はありますが,物理量が1/1000または1000倍になる度に接頭語を変えるのが基本です.

また接頭語と記号の間には,スペースを入れません

*7「刹那」という瞬間を意味する単語がありますが,実はこれ単位でもあるんです.0.000000000000000001秒,つまり,1アット秒です.まさに「瞬間」ですね.

*8簡易的に “u” と書く人がいますが,提出物ではちゃんと “μ” と書きましょう.

SI単位以外の単位【バイオ実験でよく使うもの】

ココからは,SI単位以外の単位についてまとめます.

体積はリットル(L)ではない?

上述のように,体積のSI単位は “m3” です.

しかし,リットル(L)もよく使われています.

小文字の “l” ではなく大文字の “L” の理由は,フォントによっては英字のアイ(I)と混同してしまうからです.

立法メートルとリットルの変換が苦手な人も多いので,以下にまとめます.

体積の単位変換が苦手な人へ

“℃” は?

気象予報や体温計などをはじめ,私たちが日常でよく使う “℃” はどうでしょうか?

温度単位の変換

ケルビンから273.15を引いた「差」が “ なんです.

また読み方は「セルシウスド」ですよ!

「せっし(摂氏)」でもイイですけどね.

*92つの量の「積」または「商」ではないですね.計算で導いてはいますが,誘導単位では無いかもしれません.ちなみに,絶対零度とは “– 273.15 ℃” のことです.

分,時間,年は?

例えば,「10800秒間,室温で反応させた」と書かれたとします.

実験系に登場する単位

それって何分?または何時間?

ってなりますよね(笑)

秒(s)だけでは不便ですし分かりにくいです.

だから,SI単位ではありませんが,分(min),時間(hr),年(yr)もよく使います.

グラム(g)は?

SI基本単位はkgですが,いつもキロ単位の物を扱うとは限りません.

むしろ,ごく少量を扱うことの方が多いと思います.

よって,接頭語と組み合わせて “mg” や “μg” としてよく使います.

パーセント(%)は?

濃度の単位として「パーセント濃度」があるので,SI単位ではない “%” もよく使われます.

ただ使い方は,これまでの記号と少し異なります.

それは,数字と単位記号の間にスペースを入れないことです.

これは,論文作法マニュアルのスタンダードとして有名なシカゴマニュアルにも記載されています*10

*10 “℃” に関しては,いくつかの派閥?があるようです.SI単位系に従うと数字と単位記号の間にスペースを入れますが,シカゴマニュアルでは入れません.またビジネス文書だと “° C” のように “°”と “C” の間にスペースを入れることもあるようです.こればかりは,提出先や投稿先に確かめるのが無難でしょう.

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古い文献で見かけた単位

古い文献では, “mμ” という単位を見ることがあります.

吸収スペクトルの波長を占めす文献だったので,おそらく “nm” のことだとは思いますが,詳細はわかりません.

 

今回は,ちょっと情報量が多すぎましたね(笑).

でも単位ってすごく重要なんです!

論文(Materials and Methodsの項)でも誤った単位やSI接頭語が使われているのを見ることがあります

読み手の私が,たまたま知っている内容だったから「誤り」と気づきますが,そうでない人にとっては大問題ですよね.

最後までお付き合いいただきありがとうございました.

次回もよろしくお願いいたします.

2019年11月30日 フール

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