研究職の派遣社員に求められる『学生指導のサポート』は妥当なのか?

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研究職派遣社員に求められる『学生指導のサポート』は妥当?本来の業務とのギャップや学生への影響を考察

この記事を書いた人
フール

元研究者で獣医師/博士(Ph.D.)/派遣社員の研究員や臨床獣医師を経験/研究職への復帰を考えているバイオブランク/学歴が「身分の指標」ではなく「職務能力・専門能力の指標」として機能することを願う者/DeSci(分散型科学)の勉強中

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本記事の内容・派遣社員に学生指導のサポートを期待する求人

・派遣社員に学生指導業務をさせることの是非

フールの登場

こんにちは.

元研究者のフールです.

最近,再び研究職への復帰を考えています.

マネジメントや社内(学内)政治とかに興味がないので,派遣社員として研究職に就ける求人を探していると,ある大学で有期雇用の派遣社員の求人がありました.

そして,そこには「業務が落ち着いてきたら学生指導のサポートもお願いします」とあったんです

「サポート」とあるけど,派遣社員に学生指導業務をさせるってどうなの?

って感じました.

このように違和感を覚えるのは,私だけなのか?

その辺も気になったので,今回は派遣社員の学生指導業務の是非を考えてみようと思います.

サマリー・学生指導は教育的なスキルを必要とします.派遣社員がそのスキルや経験を持っていないのであれば,「サポート」であっても担当させるべきではないと私は考えます.

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研究職の派遣社員に学生指導のサポートを期待する求人

私が見つけた求人は,勤務先が大学で,業務としては分子生物学や生化学の専門技術が求められるものでした.

業務内容としては,以下のことが記載されていました.

  • FACS解析(Flow Joでの解析を含む)
  • DNA抽出
  • PCR
  • 遺伝子組み換え
  • ELISA
  • PBMC分離
  • 免疫染色(できれば尚可)

派遣社員に学生指導のサポートを要求する求人

全て私が経験したことのある内容だったので,ピッタリの求人だなと思っていたら…

その下に次のようなことが書かれていました.

※動物実験等はありません
※実験が落ち着いてきたら学生指導のサポートもお願いします

派遣社員に学生指導…「サポート」とあるけれど,それって大丈夫?

って思いました.

気になったことは他にもあります.

  1. 業務内容とは分けての記載であること
  2. 応募条件に「上記実験手技のご経験者」とあるが「学生指導の経験」については記載がないこと

法的には問題ないのかもしれないけど,何か違う気がするんですよね.

主たる業務とのギャップがあると思うし,指導を受ける学生への影響も考えてない気がするし…

派遣社員に学生指導業務をさせることの是非

これから,私が感じたモヤモヤしていることを言語化していきます.

そして,研究職の派遣社員に学生指導のサポート業務をさせることの是非を考えてみようと思いますね.

モヤモヤ(1)本来の業務とのギャップ

求めている業務は分子生物学や生化学に関する専門技術ですね.

これは応募条件に「上記実験手技のご経験者」とあるので間違いないでしょう.

そして,学生指導のサポートはそのスキルセットとは異なると思うんです

これは本来の業務とのギャップを生む原因では?

また,業務内容に付け加える形で副次的に記載されてあるので,その重要性が低いと私は感じました.

でも実際には,指導にも時間や労力がかかるかもしれません.

これも,本来の業務とのギャップが生じる原因になると思う.

モヤモヤ(2)派遣社員の役割

派遣社員は,定められた業務範囲内で働くことが前提ですよね.

だから,求人内容に「サポート」の内容の詳細が書かれていないのが厄介だと感じます.

派遣社員に学生指導のサポートがどの程度求められるでしょうか?

もしこれが技術指導としての役割となると,教育的なスキルを要するので,応募条件に「技術指導のご経験者」などの文言が必要なのでは?

モヤモヤ(3)学生への影響

学生は,質の高い指導や教育を求めています.

求めている「サポート」の内容にもよりますが,派遣社員にその準備やバックグラウンドがない場合,その質が落ちたり,学生に悪影響を与える可能性がありますよね.

モヤモヤ(4)派遣社員に適した業務

学生指導には一定の責任が伴いますよね.

「サポート」の内容によっては,派遣社員にもそれが生じるはず.

そもそも,派遣社員がこうした業務に対して責任を持てるのか?

これは本当に派遣社員に適した業務なのでしょうか?

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曖昧な求人には応募しない

私は3つの理由でこの求人に応募はしませんでした.

  1. 「学生指導のサポート」が業務内容に明記されていない
  2. 専門的な技術業務に対する副次的な業務として示されている点が変
  3. 私には教育的なスキルがない

過去の失敗から,業務の曖昧さを感じる求人には応募しないと決めています.

求人を出す企業・大学,そして,求人情報を取りまとめる派遣会社は,業務内容に対する期待を明確にしたものを提供して欲しいですね!

また教育・指導に関して,私は恩師や先輩のやり方を学生として体験しながら暗黙的に学んだだけです.

やはり過去の失敗から,それが役に立たないこと自分に教育的なスキルがないことを理解しているので,応募しないのが正解だと考えました.

まとめ・結論

学生指導は専門的な知識や教育的なスキルを必要とするので,派遣社員にそのバックグラウンドがないのであれば,「サポート」でも担当させるべきではないと私は考えます.

求人票の応募条件には,教育スキルに関する文言もあるべきでしょう.

また,専門的な技術業務を担当する派遣社員に,副次的な業務として学生指導の「サポート」を任せることもおかしいと思います.

もちろん,授業に使う実験器具の準備とか実習で使う培養細胞の管理とかを指すなら分かるのですが,その場合,その旨を求人票に書いて欲しいですよね!

内容によっては「サポート」として軽く扱うことが適切でない場合もあるでしょうし…

応募者がこういう疑問を感じないような求人票を作ってほしいなと思った経験でした.

最後までお付き合いいただきありがとうございました.

2024年10月29日 フール

 

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