実験データの再現性と正確性【超まとめ】(2)
「再現性」と「正確性」は何が違うの?
本記事は,このような「なぜ?どうして?」にお答えします.
こんにちは.
博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.
前回に引き続き,本記事は,再現性(Reproducibility)と正確性(Accuracy)についてまとめています.
今回は,実験の正確性についてです.
サマリー・実験の結果が真の結果と同じことを「実験の正確性が高い」と言います.
・異なる実験方法で,その結果が真の結果かどうかを見極めます.
実験データの「正確性」
実験結果が真の結果と同じまたは真の結果に近いことを「実験の正確性が高い」と言います.
こちらも射的をイメージすると分かりやすいと思います.
「 1 回の実験」を 1 発の弾で表現しています.
的の中心が真の結果だとすると,「正確性が高い」とは的の中心に弾が集まることです.
同じ所に弾が集まっても「正確性が高い」とは言いません.
鶏が先?卵が先?
実験結果が真の結果に近いかどうかが「正確性」といいました.
ん?
実験(研究)って,真実(真の値)が何か分からないからやるんでしょ?
真実(真の値)が何か知りたいからやるんだよね?
真実(真の値)が分かっているなら,実験する意味ないじゃん♪
その通りです!
まさに「鶏が先か、卵が先か」ですね(笑).
でも実際は,実験結果がでる前は,真実(真の値)は分かりません!
それでは,どうやって「正確性」が高いかどうかを評価するのでしょうか?
それは,「目的は同じだけど,異なる方法の実験」で検証するのです.
異なる実験方法で得られる結果が同じならば,その結果は真実に近いと考えることができます.
逆に,実験ごとに得られる結果が異なる場合は,その結果は真実ではない可能性が高いと考えます.
【目的は同じ】だけど【異なる方法】の実験
目的は同じだけど異なる実験方法について,2 つの具体例をみていきましょう.
タンパク質の発現を確認する場合
目的タンパク質が発現しているかどうかを ELISA 法・ウェスタンブロット法・蛍光抗体法で確認することがあります.
① ELISA 法でそのサンプル中に目的タンパク質があるかどうかを確認します.
② ウェスタンブロット法でタンパク質のサイズも合わせて確認します.
③ 蛍光抗体法でタンパク質の局在を確認します.
この前後でタンパク質の活性を調べたり,目的タンパク質をコードする mRNA の転写量を調べたりもします.
遺伝子の変異を確認する場合
目的遺伝子に変異があるかどうかをデータベース検索・ PCR-SSCP 法・ PCR-RFLP 法・シークエンス法で確認することがあります.
① データベース検索で変異の報告があるかどうかを調べます.
② その変異が,自分のサンプルにも存在するかどうかを PCR-SSCP 法・ PCR-RFLP 法で確認します.
③ 最後にシークエンス法でその変異の正体(配列の違いの詳細)を確認します.
以上,実験の再現性と正確性の説明でした.
最後までお付き合いいただきありがとうございました.
2020年1月26日 フール