実験データの再現性と正確性【超まとめ】(1)

「再現性」と「正確性」は何が違うの?
本記事は,このような「なぜ?どうして?」にお答えします.
こんにちは.
博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.
今回と次回で,再現性(Reproducibility)と正確性(Accuracy)についてまとめます.
先ずは,以下のやりとりをご覧ください.

実験は順調ですか?

ハイ!

ちょうど今,実験データのまとめが終ったところです.

そうですか.
ちょうど時間が空いているので,そのデータを見せてください.

分かりました.

Triplicate 1 回のアッセイを 5 回繰り返しました.
結果のばらつきも小さく,データの正確性も高いと思います.

本当ですね!
実験系と実験手技が安定している証拠です!
実験は順調ですね!

ただ,このデータからでは「正確性が高い」とは言えませんよ.

今回の結果から言えることは,「再現性が高い」ということです.

再現性?
正確性と何が違うんですか?
そうなんです!
実験(データ)の再現性と正確性は,似ているようで全く別の概念なのです.

同じ実験を何回か繰り返して,同じ結果なら「正確」でしょ?
このように思った方,ぜひ本記事を最後までお読みください!
サマリー・同じ実験を繰り返し行い,同じ結果を得られることを再現性が高いといいます.
・実験の再現性には,3 種類の考え方があります.
実験データの「再現性」とは?
同じ実験を繰り返し行い,同じ結果が得られることを「実験の再現性が高い」と言います.
射的をイメージすると分かりやすいと思います.
「 1 回の実験」を 1 発の弾で表現しています.
「再現性が高い」とは,的の中心に弾が集まることではありません.

弾が同じ所に集まることを「再現性が高い」と言います!
「再現性」の種類
実験の再現性には,3 通りの考え方があります.
① 測定内再現性 ② 測定間再現性 ③ 測定者間再現性
測定内再現性
「1サンプル」を1発の弾で表現しています.
同じ処理をしたサンプルが10サンプルという場合を考えてみましょう.
左側(再現性あり)は問題ありませんね.
右側(再現性なし)は,以下の点を検証する必要があります.
① 測定者の手技が安定していない可能性 ② サンプル処理の方法が安定していない可能性
測定間再現性
「 1 サンプル」を 1 発の弾で表現しています.
1 回で 10 サンプルを測定する実験を 3 回行うという場合を考えてみましょう.
上側(再現性あり)は問題ありませんね.
下側(再現性なし)は,弾は毎回同じ所に集まっていますね.

測定者の実験手技は安定しているようです.
でも,集まる位置は毎回異なりますね.

サンプルの質には問題がありそうですね.
サンプル処理の方法が安定していない可能性を検証する必要があります.
測定者間再現性
「 1 サンプル」を 1 発の弾で表現しています.
1 回で 10 サンプルを測定する実験を 3 人が行うという場合を考えてみましょう.
上側(再現性あり)は問題ありませんね.
下側(再現性なし)は,測定者によって結果が異なりますね.
D さんと E さんの結果はだいたい同じなので,サンプルの質は安定しているようです.

でも, F さんの結果はヒドイですね(笑).
Fさんの測定手技には問題がありそうですね.
長くなりそうなので,本記事はココで終了します.
正確性の説明は,次回の記事でまとめます.
最後までお付き合いいただきありがとうございました.
次回もよろしくお願いいたします.
2020年1月26日 フール