pHメーターとpH試験紙の使い分け【超まとめ】

pHメーターの使うときの注意点って何ですか?
本記事は,このような「なぜ?どうして?」にお答えします.
こんにちは.
博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.
緩衝液など試薬の調整でpHメーターを使用したことがある人は多いと思います.
機器の説明書を見ればわかることですが,家電製品と同じで説明書を熟読する人は少ないようですね(笑).
今回は,pHメーターの使い方*とpH試験紙との使い分けについてまとめました.
*ココで書く内容は一般論です.機器によって仕様が異なる場合があるので,必ず説明書も読んでください.
サマリー・pHメーターの調整は,測定する試薬のpHをはさんで調整します.
・pH9 の標準液は,空気中の二酸化炭素の影響でpHが低くなることがあります.
・pHメーターの測定値に疑問を感じたら,pH試験紙を使いましょう.
pHメーター
調製した試薬溶液のpHを正確に合わせるときに使う機器です.
私は,デジタルで自動校正してくれるものしか使ったことがありません.
でも,年配の方に聞くと,昔はメーターの目盛を見ながら手動で校正していたそうです.

技術ってすごいですね!
pHメーターの使い方
デジタルで自動校正してくれる機種の使い方*を簡単にまとめます.
*校正方法は,pHメーターによって操作が異なる場合があります.使用前に確認することをオススメします.
① 電源をいれて,ガラス電極についているキャップをはずします.
② 電極を保存液からはずし,イオン交換水で洗浄します.
③ 電極に付着している水滴をキムワイプでふき取ります.

電極を擦らないで下さい!
あくまでも軽くふき取るだけです.
④ pH7(6.8)の校正用標準液に電極をつけます.

標準液を穏やかに撹拌しながら、pHが安定するまで待ちましょう.
pHが安定したら、校正は自動で完了します.
⑤ pH7の校正が終了したら,イオン交換水で電極を洗い, キムワイプで水滴をふき取ります.
⑥ 測定したい試薬が酸性ならば,pH4の標準液で校正します.塩基性ならば,pH9の標準液で校正します.
⑦ 校正が終わったら,これまで同様に電極を洗浄して水滴をふき取ります.
⑧ 試薬溶液のpHを測定します.
⑨ 測定が終了したら,これまで同様に電極を洗浄して水滴をふき取ります.
⑩ 電極を保存液に浸けて,キャップをします.
pHメーターの標準液
pHメーターの標準液には3種類あります.
pH4の標準液・pH7の標準液・pH9の標準液です.
この内,pH9の標準液は,空気中の二酸化炭素の影響で,pHが変化する(低くなる)ことがあります.

使用後は,必ず容器のフタが閉まっていることを確認しましょう!
もし,フタが開いた状態を見つけた場合は,後述するpH試験紙で標準液のpHを確認することをオススメします.
pH試験紙
pHメーターは,校正しなければ使えません.
そして,標準液との比較でpHを測定しているので,pHメーターで得られる値は相対値です.
正しく校正ができていなかったり,上述したように標準液のpHがズレていた場合,得られた値は信用できません.

だから,私はpH試験紙を併用することがあります.
pH試験紙は,pHに依存し色が変化する色素が吸着した紙です.
pHによって色が変化するので,得られた値は絶対値になります.
pHメーターで測定していて,「あれ?何か変だなぁ」と感じることがあれば,pH試験紙を併用して,測定値を比較すると良いでしょう.
pH試験紙の問題点

それなら全部pH試験紙で測定した方が良いですよね?
このように思った方もいるでしょう.
私も学生の頃にそう思いました(笑).
確かに,pH試験紙は,校正することなく,且つ,少量のサンプルで測定できます.
電源も要りません.
良いことだらけですね.
でも,問題点はあります.
それは,色を見て判定する点です.
五感で判定するため正確性が欠けますし,測定者間再現性も低いです.
例えば,pH7.5 と pH8.0 の違いを正確に区別できるかというと…それは非常に難しいと思います.
だから,私はpHメーターで測定していて「何か変だなぁ」と感じたときにpH試験紙を併用するだけです.

pH試験紙でpHを合わせることはしません.
以上,pHメーターとpH試験紙の使い分けでした.
最後までお付き合いいただきありがとうございました.
次回もよろしくお願いいたします.
2020年2月1日 フール