BSL設定【BSLは各施設で決定できる】

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BSL設定【BSLは各施設で決定できる】

 

BSLって施設ごとに違うんだね.どうして?

本記事は,このような「なぜ?どうして?」にお答えします.

 

こんにちは.

博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.

生物実験における安全の考え方には2種類あります.

1つ目は,哺乳綱及び鳥綱への病原性を基準としたPhysical containment level(Pレベル)分類です.

2つ目は,ヒトへの病原性を基準としたBiosafety level(BSL)分類です.

両者を合わせて,バイオロジカルセーフティーと呼ぶこともあります.

両者が示す危険性または必要とする設備等は,ほぼ同等です.

そのせいか,PレベルとBSLを同一視しているヒトが多いことに気付きました.

そこでこの記事では,同じものだと誤解しやすいPレベルとBSLについてまとめました.

本記事を読み終えると,PレベルとBSLの違いが分かるようになりますよ!

 

サマリー・Pレベルは,法令で規定されています.

・BSLは,法令で規定されていません.

・サンプルの輸送では,施設間のBSLの違いが問題になることもあります.

Pレベル

Pレベル

カルタヘナ法*の「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき核酸防止措置等を定める省令」において,遺伝子組換え生物等に係る核酸供与体と宿主の実験分類が定められています.

この省令では,哺乳綱および鳥綱への病原性に基づいて遺伝子組換え実験をクラス1~4に分類しています.

そして,各々の実験分類に対応した拡散防止措置の区分としてPレベル(P1 ~ P4)を決定することになっています.

重要な点は,Pレベルは法令で決まっているということです.

ココが後述するBSLとの大きな違いです.

なお,P1 ~ P4 における拡散防止措置の詳細な内容は,同省令の別表第2で確認できますので,興味がコチラをどうぞ.

*正式名は「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」です.

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BSL

バイオセーフティレベル(BSL)の分類例

WHO の “Laboratory biosafety manual” に基づき,各国はヒトにおける病原性を評価した4段階のリスクグループを定めています.

そして,各リスクグループに対応した実験室における病原体の取り扱いレベルがBSLです.

日本では,感染研(NIID)が病原体等安全管理規定を作成しています.

そこで日本版のBSLリストを見ることができますよ!

注意して欲しいのは,このリストは感染研が設定したものです.

Pレベルと異なり,BSLの設定には法的な根拠がありません

だから,BSLは各施設(大学,病院,会社など)で設定することができます

つまり,感染研の設定したBSLは,他の機関や専門学会などが設定するBSLと異なる場合もあるんです!

培養細胞のBSL

ATCCやJCRB細胞バンクでは,培養細胞のBSL分類を行っています.

これは「培養細胞中に病原体の存在が確認され,それがヒトに感染するおそれがある」とみなされている培養細胞もあるからです.

ただ,このBSL分類も各バンクが独自に設定したものです.

細胞株によっては,バンク間でBSLが異なる場合もあります.

サンプル輸送時は注意

私がまだ研究者だったころの話です.

何回かサンプルの輸送手続きを行ったですが,その際に施設間のBSLの違いが問題になったことがありました.

私がいた施設のBSLでは,輸送対象の培養細胞はBSL1の扱いでした.

しかし,輸送先のBSLでは,その培養細胞はBSL2の扱いでした.

その点を考慮せずに輸送申請を行ったら,申請書は受理されませんでした(笑).

当該のBSLはその施設マネジメント上の扱いで,施設外には適用できないということですね!

施設独自のBSLを設定している場合は,施設外で一般的とされているBSLに則った対応をした方が良いと学びました.

ABSL分類

動物実験におけるBSLもあります.

それが, “Animal” を意味する “A” が付いた “ABSL” です.

実験動物施設や感染実験を行う施設では,設定されているかもしれません.

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最後までお付き合いいただきありがとうございました.

次回もよろしくお願いいたします.

2020年12月26日 フール