ナノドロップの波形データの見方【実験データの見方】

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ナノドロップの波形データの見方【実験データの見方】

 

ナノドロップで表示される波形

ナノドロップで表示される波形ってどんな意味があるんですか?

本記事は,このような「なぜ?どうして?」にお答えします.

 

こんにちは.

博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.

核酸またはタンパク質の濃度とその純度を確認するために,ナノドロップを使用する人が多いと思います.

ナノドロップは,核酸またはタンパク質測定用の吸光光度計の1つです.

核酸やタンパク質の構成物質は,特定の波長の光を吸収します

特定の波長の光を当てると,サンプル中に含まれる物質の量に応じて光が吸収されます.

詳細は割愛しますが,吸収された光の割合(吸光度)を測定することで,サンプル中に含まれる核酸またはタンパク質の濃度を求めることができます.

ただ,出力された数値だけを鵜呑みにしていてはダメですよ!

同時に出力される波形は,濃度と同じくらい重要な情報を含んでいます.

本記事では,ナノドロップで出力される波形についてまとめました.

 

サマリー・核酸抽出のとき,使用した試薬が残存した核酸の波形は,少し変.

・核酸抽出のとき,タンパク質が混入した核酸の波形は,少し変.

ナノドロップの波形データ【正常な波形】

先ずは正常な波形から見ていきましょう!

ナノドロップの正常な波形【核酸編】

ナノドロップの正常な波形【タンパク質編】

核酸編

核酸の波形は,以下の3点に注目します.

ナノドロップの正常な波形【核酸編の解説】

① 230 nm付近にがある.
② 260 nm付近にピークがある.
③ ベースラインが0の位置にある.

① 230 nm付近にがある.

核酸抽出に使用する試薬(グアニジン,フェノール,EDTA)は,230-280 nmの範囲の波長を吸収します.

これら試薬のコンタミネーションがある核酸では,この谷が浅くなります

② 260 nm付近にピークがある.

核酸は,260 nm付近の光を吸収します.

核酸を構成する塩基がこの付近に吸収ピークを持つ(A: 259 nm,T: 267 nm,G: 253 nm,C: 267 nm)からです.

③ ベースラインが0の位置にある.

異常な吸光が有るとベースラインが安定しません.

タンパク質編

タンパク質の波形は,以下の3点に注目します.

ナノドロップの正常な波形【タンパク質編の解説】

① 220 nm以下に大きなピークがある.
② 280 nm付近に小さなピークがある.
③ ベースラインが0の位置にある.

① 220 nm以下に大きなピークがある.

タンパク質中のペプチド結合は,200-215 nm付近の光を吸収します.

② 280 nm付近に小さなピークがある.

タンパク質中の芳香族アミノ酸(トリプトファン・チロシン・フェニルアラニン)は,280 nm付近の光を吸収します.

芳香族のベンゼン環がこの付近に吸収ピークを持つからです.

③ ベースラインが0の位置にある.

核酸の波形同様に,異常な吸光が有るとベースラインが安定しません.

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ナノドロップの波形データ【異常な波形】

核酸抽出のときに使用した試薬(グアニジン,フェノール,EDTA)が残存したり,タンパク質が混入した核酸の波形は,少し変な波形になります.

グアニジンが残存した波形

ナノドロップの異常な波形【グアニジン混入】

グアニジン(またはグアニジンチオシアネート)が残存した波形は,230 nm付近の吸光度が上昇します.

フェノールが残存した波形

ナノドロップの異常な波形【フェノール混入】

フェノールが残存した波形は,230 nm付近および270 nm付近の吸光度が上昇します.

フェノールの吸収ピークは270 nm付近なので,たとえ微量な混入であってもサンプル中の核酸濃度を高く見積もってしまいます

タンパク質が混入した波形

ナノドロップの異常な波形【タンパク質混入】

タンパク質が混入した波形は,280 nm付近に突出ができます.

最新のナノドロップ

波形が重要な情報源だということが分かっていただけたでしょうか?

異常な波形を紹介してきましたが,実は最近のナノドロップは,試薬の残留やタンパク質の混入を補正してくれます.

波形の知識が無くても機械が教えてくれるんです(笑).

便利になりましたね~.

でも,ナノドロップの結果の見方は知っておいて損はしませんよ.

以上,ナノドロップの結果の見方でした.

最後までお付き合いいただきありがとうございました.

次回もよろしくお願いいたします.

2020年1月8日 フール