RNA抽出からqPCRをするまでにかかる費用【実験にはお金がかかる】③

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こんにちは.

博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.

久しぶりに【実験にはお金がかかる】シリーズを書きます.

私には,自分だけの研究施設を持つという夢があります.

ラボヘッドまたは企業のプロジェクトリーダーになるという意味ではありません!

趣味で研究を展開できる,純粋に好奇心を追求できる,そんな「自分だけの研究施設」が作りたいのです!

漠然とお金がたくさん必要ってのは分かるんですが,具体的にいくらぐらい必要なのでしょうか?

やはり実現するためには,具体的な数値目標が必要ですよね.

本シリーズでは「自分だけの研究施設」を創る第1歩として,日々の実験業務にかかる費用を考えています!

本記事では,RNA抽出からqPCRをするまでにかかる費用を計算*してみました

あなたは,RNA抽出からqPCRをするまでに,どのくらいお金が必要だと思いますか?

*ココで使用している数値は,定価・希望小売価格・オープン価格・参考小売価格のどれかです.私の職場が実際に支払っている価格ではありません.

サマリー・約1,400円が,RNA抽出1回のお値段です.
・約1,020円が,cDNA合成1回にかかる費用です.
・約2,120円が,1回のqPCR(絶対定量)にかかる費用です.

RNA抽出からqPCRまでのプロトコール

私が行っているRNA抽出からqPCRまでのプロトコールは,以下通りです.

  • RNA抽出キットの説明書に従ってRNAを抽出する
  • RNA濃度を測定する
  • cDNA合成キットの説明書に従ってcDNA合成を行う
  • qPCRキットの説明書に従ってqPCR(絶対定量)を行う
  • 機器付属ソフトウェアで解析を行う

ほとんどがキットなので,説明書に従って操作するだけです(笑).

ロボットでも出来ますね(笑).

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RNA抽出からqPCRをするまでにかかる費用

上記プロトコールで,私が使用する材料とその費用*は以下の通りです.

先ずはRNA抽出のお値段からです↓

材料など 販売価格(¥) 1回あたりの費用(¥)
RNA抽出キット 38,500 770
99.5%エタノール 2,260 316.4
Nuclease free water 62 93
DTT 33,400 0.25
チップ・ピペット類 28,200 77.48
合計 102,422 1,257
合計(税込) 112,664.20 1,382.84

RNA抽出1回分のお値段は,約1,400円ということが分かりました!

続いてcDNA合成に掛かる費用です↓

材料など 販売価格(¥) 1回あたりの費用(¥)
cDNA合成キット 41,600 832
Nuclease free water 62 0.00434
チップ・ピペット類 15,700 65.4
チューブ類 26,400 26.4
合計 83,762 924
合計(税込) 92,138.20 1,016.18

cDNA合成1回分の費用は,約1,020円でした!

最後にqPCR(絶対定量)1回分のお値段です↓

材料など 販売価格(¥) 1回あたりの費用(¥)
qPCRキット 36,800 36.8
Nuclease free water 62 0.01550
サンプル希釈液 12,000 445.5
小計 48,862 482.3
チップ・ピペット類 15,700 294.3
チューブ類 26,400 26.4
プレート類 76600 1123
小計 118,700 1,444
合計 167,562 1,926
合計(税込) 184,318.20 2,118.62

qPCRの1回分のお値段は,約2,200円ということが分かりました!

以上より,RNA抽出からqPCRをするまでにかかる費用は,約4,600円くらいだと推測できます.

なかなかのお値段ですね(笑).

しかもこれは1サンプル分です.

サンプル数は増えれば増えるほど,その分だけの費用が増えるってことですね…

*濃度測定に掛かる費用(機器代・チップ代など)やプライマー代は含んでいません.

RNA抽出からqPCRをするまでにかかる費用【1か月分】

次にRNA抽出からqPCRをするまでにかかる費用を1か月あたりに換算します.

現在の私の場合,1か月で4回くらい行っていますので,その条件で考えることにします.

また,サンプル数はバラバラですが,1回10サンプルとして考えます.

単純計算で,(1,382.84 + 1,016.18 + 2,118.62)× 10* × 3 ≒ 135,600円

1か月間で15万円近くもかかっていることになりますね!

金額を知ると,ケアレスミスによる失敗(プライマーを入れ忘れたとか)はできなくなりますね…

*プレートの分など1回分で足りる分は除くべきですが,今回は除いてません.

考慮すべきその他の費用

RNA抽出からqPCRをするまでにかかる費用を計算してきました.

ただ,材料だけそろえても実験はできません.

実験装置を整える必要があります.

今回の計算には,ピペッター・遠心機・測定装置・パソコンなどの機器類の費用を考慮していません

これらは,1回分という計算ができないので除外しました.

1度そろえれば長期使用可能なので,初期費用という計算になるのでしょうか?

先日,これに関する興味深い投稿を見つけました.

ラボのセットアップに3000万円以上もかかったそうです.

ヤバいですね(笑).

投稿にあるように,科研費などの支援が無ければ何もできないと思います.

そして私は,個人でそれを実行しようとしているのだから,さらにヤバいです.

奨学金返済もまだ終わってないのに…

RNA抽出からqPCRをするまでにかかる費用【まとめ】

実験にかかる費用として,RNA抽出からqPCRをするまでにかかる費用を計算してみました.

1か月間で15万円近くもかかっていることに私は驚きを隠せません.

Ready to use製品を惜しみなく使っているという背景もあるので,節約しようと思えば,もっと安くできると思いますが…

「お金で解決できるなら,それで解決する」というのが企業ですが,その環境にいると金銭感覚は麻痺しますね(笑).

最後までお付き合いいただきありがとうございました.

次回もよろしくお願いいたします.

2020年9月12日 フール

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