キムワイプはティッシュではありません【実験室で使ういろいろな紙】

ティッシュじゃないよキムワイプだよ
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キムワイプはティッシュではありません【実験室で使ういろいろな紙】

 

キムワイプとティッシュペーパー

キムワイプとティッシュペーパーって何が違うの?

本記事は,このような「なぜ?どうして?」にお答えします.

 

おはようございます.

博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.

実験室には,色々な「紙」があります

ティッシュペーパー
ハンドタオル
キムワイプ*1
キムタオル*2
薬包紙

皆さんは,これらの「紙」を使い分けていますか?

*1キンバリー・クラーク社(Kimberly Clark Corp.)が製造する紙製ウエスの商品名です.紙製ウエスの代名詞として認識されているので,その意味ではMilli-Q水と超純水の関係に似ていますね.

*2キムワイプの姉妹品です.

 

私の同僚は,キムワイプをティッシュと呼んでいました(笑)

呼称だけでなく,実験室で使うティッシュであると本当に思っていたので唖然としました(笑).

今回のやりとりは,教員と学生ではなく,私とその同僚のものです.

お楽しみください(笑).

 

ティッシュ取ってくれる?

 

ごめん,さっき使いきった.備品倉庫から出さないとね.

 

いやいや,そこにあるでしょ!

 

ん?どれ?

 

ほらっ!そこっ!

 

コレ?

 

そう!

 

お前はアホか!

これは「キムワイプ」だべした!

 

実験室で使うティッシュをキムワイプって言うんじゃないの?

 

本気で言ってんの?

 

うん!

 

じゃぁ,それで鼻をかんでみて(笑).

 

ってことで,本記事は実験室で使う「紙」の使い分けをまとめています.

 

サマリー・キムワイプは,ティッシュペーパーではありません.

・キムワイプは,実験器具の水分を拭うことができます.

ティッシュペーパー

難水溶性で,薄くて柔らかい紙です.

使用時にパルプくずが出てきます.

水分を拭ったあと,よく見てみてください.

細かなくずがたくさん出ていますよ.

このくずは,微量分析や無菌操作など繊細な実験系に悪影響を及ぼします

よって,実験系での利用はほとんどありません.

実験室内では,こぼれた溶液を拭うために使用します.

ハンドタオル

こちらも難水溶性の柔らかい紙です.

ティッシュペーパーよりも厚いので,濡れた手を拭ったり,流しの拭き掃除をしたりするのに使用します.

キムワイプ

難水溶性の薄い紙です.

ティッシュペーパーよりも硬く,手触りはゴワゴワしています.

ティッシュペーパーと異なり,使用の際にパルプくずは出ません

だから,実験器具の水分を拭うことができます

水分だけではなく,油分の拭き取りや吸着にも使えたりと,多様な使い方ができます.

例えば,私は以下のような場面で使用しています.

・一時的なフタ(短期間だけホコリなどが被るのを防ぐ目的で使用)
・ナノドロップで測定が終わった水滴を拭う
・pHメーターの電極に付着した液体を拭う
・ピペットマンに付着した水滴を拭う
・色素の吸着(CBB染色後の脱色)

実験器具の清掃などにピッタリなキムワイプですが,顕微鏡のレンズや防護眼鏡などの清掃には使いません

キムワイプは硬い紙質のため、細かい傷をつけてしまうからです.

プロワイプ

紙製ウエスは,キムワイプだけではありません.

エリエールビジネスサポート株式会社(大王製紙のグループ企業)が製造・販売しているプロワイプも紙製ウエスです.

「エリエール」と聞いて気付いた方もいるでしょう.

そうです!

ティッシュの「エリエール」です!

でも,ティッシュではありませんからね(笑).

プロワイプの機能

個人的に,ウェスとしての使い勝手や性能は,キムワイプと殆ど変わらないと思ってます(気付いていないないだけ?).

そして,キムワイプよりも圧倒的に安いので,私の職場もキムワイプからプロワイプにスイッチしつつあります!

ちなみに,プロワイプには7種類の商品があります.

  • S132
  • S150
  • S200
  • S220
  • SS250
  • L150
  • ポリ包装タイプ

私はS200しか使ったことが無いので,違いは分かりません.

ただ,商品の紹介ページでは,それぞれの説明が少しずつ違うので特徴があるのかもしれません.

キムワイプで鼻をかんでみた話

もちろん,キムワイプで鼻をかむことはしません.

でも私は,好奇心旺盛なんです(笑).

好奇心から一度だけ鼻をかみました.

すごく痛かった(笑).

良い子はマネしないように!

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キムタオル

難水溶性の厚手の紙です.

キムワイプの姉妹品ですが,キムワイプと異なり,使用時にパルプくずが出てきます.

水分の吸収率が非常に良いので,実験で出た廃液を吸わせたり*3,水を吸わせた状態で湿箱に入れ保湿剤として使ったりします.

実験室の掃除にも使えますが,パルプくずが出るので,キレイにはならないかもしれません.

*3私は,ELISAでプレートを洗浄する時に使います.ウェルに入った液をデカントで捨てた直後にプレートひっくり返すと,ウェルの縁に付いた液が隣のウェルに入ることがあります.プレートをひっくり返す前に,キムタオルの上でプレートをタッピングすると,ウェルの縁に付いた液を拭うことができます.ウェル間のコンタミリスクを抑えることができ,さらに廃液をウェルの外にしっかり出すことができるので洗浄効率もあがります.

プロワイプ ソフトタオル

先ほど紹介したプロワイプの姉妹品が「プロワイプ ソフトタオル」です.

用途はキムタオルと同じです.

機能・性能もキムタオルとの違いは無いと思います(私が気付いてないだけかもしれませんが笑).

プロワイプ同様に,こちらも複数の商品が出ており,それぞれの説明が少しずつ違うので特徴があるのかもしれません.

薬包紙

試薬を秤量する時に使用する紙です.

紙質はパラフィンです.

ケーキ等を焼いたことがある人は,ケーキの下に敷いてある紙を想像すれば良いでしょう(笑).

薬包紙には,両面がツルツルしているタイプ片面はザラザラしてるタイプがあります.

どちらのタイプも,ツルツルしている方に試薬を載せるのが一般的です.

それは,ツルツルしている方が,試薬は付着しにくいからです.

しかし,粉状の試薬(例えば,スキムミルクや乳糖など)は,ザラザラの面に載せると便利ですよ!

別の容器に移すとき,紙に残らずきれいに移すことができるので.

終わりに

キムワイプは「実験室のティッシュペーパー」では無いことが分かっていただけたでしょうか?

「私もそうだと思ってた」という方がいましたら,ぜひ明日からこの記事で学んだことを活かしてください.

最後までお付き合いいただきありがとうございました.

次回もよろしくお願いいたします!

2019年11月25日 フール

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