インパクトファクターの意味と調べ方【超まとめ】
先生に「インパクトファクターはいくつ?」って聞かれたんだけど,そもそもインパクトファクターって何ですか?
本記事は,このような「なぜ?どうして?」にお答えします.
こんにちは.
博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.
皆さんは,インパクトファクターを気にしていますか?
筆頭著者として論文を投稿する人たちは,気にする方も多いと思います.
それでは,インパクトファクターが何を意味するのかを考えたことはありますか?
インパクトファクターの値ばかりを気にして,インパクトファクターそのものが何を意味するのか知らない人が多いと気付きました.
そこで本記事では,インパクトファクターの意味と調べ方をまとめした.
本記事を読み終えると,インパクトファクターが何を意味するのかが分かるようになり,雑誌の選び方が変わるかもしれませんよ!
サマリー・インパクトファクターは,被引用数を基にした雑誌の評価指標です.
・創刊から3年半経って初めて,その雑誌にインパクトファクターが付きます.
・自然科学分野および社会科学分野の雑誌が対象です.
インパクトファクターとは?
インパクトファクター(IF)は,論文の被引用数を基にした雑誌の評価指標の1つです.
その雑誌に投稿・掲載された論文について,1報あたり何回引用されているかを示す指標です.
例えば,雑誌AのIFと雑誌Aと同じテーマ・目的を持つ他の雑誌BのIFを比較すれば,雑誌Aの影響力を相対的に比較・評価することができます.
逆に言えば,テーマや目的が異なる雑誌間の比較はできません!
IFは,Clarivate Analytics社*の “Journal Citation Reports (JCR)** ” で提供され,毎年6~7月に前年のIFが公開されます.
*昔は,トムソンロイター社でした.
**Web of Science (WoS)でも確認できます.
あくまでも雑誌の評価指標
インパクトファクターは,あくまでも雑誌の評価指標です!
論文の評価ではありませんよ!
博士課程の卒業要件に,「インパクトファクター3以上の雑誌に投稿」みたいな要件を設ける大学もあるようですが,ナンセンスですね(笑).
Ph.D.を授ける価値があるかどうかを,投稿した雑誌の評価で決めるってことですもんね(笑).
論文の内容で評価してくれよ~
って私は思います!
インパクトファクターの計算方法
インパクトファクター(IF)は,過去2年間で掲載された論文数とその年の被引用数を用いて算出されます.
例えば,雑誌Aの論文掲載数と被引用数が上記の場合,雑誌Aの2020年のIFは以下の式で算出されます.
式:(660 + 340) ÷ (160 + 140)
よって,雑誌Aの2020年のIFは3.3となります.
この値が2021年の6~7月に公開されます.
つまり,創刊から最低でも3年半が経過していないと,その雑誌にIFは付かないのです!
ちなみにJCRでは,過去5年のIFや自誌引用を除いたIFも提供していますよ!
インパクトファクターで比較できる分野
インパクトファクターは全ての雑誌が対象ではありません.
JCRが対象とする雑誌は,WoSのジャーナル索引ファイルに登録されている自然科学分野(SCI-E)と社会科学分野(SSCI)の雑誌です.
だから,宗教・芸術・歴史などがテーマの雑誌はIFでは評価することができません.
ちなみに2020年版のJCRには,236分野・12,171誌が対象となっていました.
色々なインパクトファクター
一般に「インパクトファクター」と言えば,JCRで提供されている “Journal impact factor [JIF] “ です.
しかし,世の中には色々なインパクトファクターが存在します.
例えば,OMICS社の “Open access journal impact factor” が有名ですね!
このインパクトファクターは,計算方法がJIFと同じなので値の解釈の仕方も同じです.
他にも以下のようなインパクトファクターが存在します.
- Scientific journal impact factor (SJIF)
- Research journal impact factor (RJIF)
- Universal impact factor (UIF)
- Global impact factor (GIF)
だから,「インパクトファクター」って単語だけで判断してはいけません!
謳われている数値を鵜呑みにしないことが大切ですよ!
JIFとの違い
これらの値とJIFの値で何が違うのか?
正直,私もちゃんと理解していません(笑).
ただ,揺るがない事実があります.
それは,学術界での就職活動等で公式に採用されるのはJIFだけです.
理由は分かりません.
JIFは,特許登録されており且つその知名度も高いので,値の信頼性が高い指標だと認識されているからでしょうか?
詳細は分かりませんが,個人的にはあまり良い傾向では無いと思います.
やっぱり,評価システムは2つ以上あることが望ましいと考えます.
例えば,企業や国債の格付けもStandard & Poor’sとムーディーズがありますよね.
両者の評価が似通うことで,その評価は信頼性を増しています.
私は,インパクトファクターにも同じことが言えると思うんです.
インパクトファクターの意味【超まとめ】でした.
最後までお付き合いいただきありがとうございました.
次回もよろしくお願いいたします.
2020年11月15日 フール