緩衝液のお話【バッファー総論】

緩衝液(バッファー)について考える【バッファー総論】

色々な緩衝液を知る
この記事は約3分で読めます。

緩衝液(バッファー)について考える【バッファー総論】

 

みんな「バッファーに溶かして」とか言うけど,そもそもバッファーって何ですか?

本記事は,このような「なぜ?どうして?」にお答えします.

 

こんにちは.

博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.

PBS,TAE,TBE,TE,MOPS,MES,HEPES,etc.

これらは私が実験でよく使う緩衝液(バッファー)です.

実験では色々なバッファーを使います.

今でこそ濃縮された既製品を購入していますが,昔は1つ1つ作製していました.

あれは大変だったな~.

pHメーターとにらめっこした日々が懐かしい.

ところで,皆さんの実験室には,どんなバッファーがありますか?

普段使用しているバッファーの特徴を説明できますか?

バッファーの使い分けは大丈夫でしょうか?

「先生や先輩に言われたから」という理由で,何となく使っていませんか?

昔は,勉強して理解しなければダメだったことが多かったですよね.

今は,技術の発達によってその勉強をスキップできる時代となりました.

これが吉とでるか凶とでるかは分かりませんが(笑).

バッファーもその1つだと思います.

この連載では,勉強しなくても使えるけど,知っておいた方が楽しいバッファーについてまとめます.

本記事は,バッファーの役割バッファーの略称についてです.

 

サマリー・緩衝液は,pHを目的の範囲内に維持する能力がある液体です.

バッファー(Buffer)とは?

バッファーは,溶液中のpHを目的の範囲内に維持する能力がある液体です.

目的のpHの範囲により使用するバッファーの種類を変える必要があります.

目的のpHの範囲内って?

例えば,ある動物の酵素Aの活性を調べるとします.

反応自体は試験管内で行いますが,酵素Aは厄介なタンパク質で,生体に近い条件を再現しないとその活性を発現しません.

この「生体に近い条件」の一つにpHがあります.

酵素活性を調べるために,試験管内で色々な試薬を混ぜて反応溶液を作ります.

しかし,一部の試薬は酸性だったり塩基性だったりするわけです.

よって,全ての試薬を混ぜると,そのpHは生理的な範囲をズレている可能性があります.

そこで反応溶液のpHが生体のそれと等しい状態に維持されるように緩衝液(バッファー)を使うのです.

スポンサーリンク

バッファーの略称

よく使うバッファーには略称が使われます.

例えば,冒頭でご紹介したTAE,TBE,TEなどは定番です.

ティーエーイー,ティービーイー,ティーイーと言うだけで何のバッファーなのか通じてしまうくらい有名です.

よく使うバッファーに関しては,その略号も知っておいた方は良いでしょう.

参考までにTAE,TBE,TEは以下の通りです.

TAE

TAE: 40 mM Tris/Acetate (pH 7.8), 1 mM EDTA

TBE

TBE: 89 mM Tris/Borate (pH 8.3), 2 mM EDTA

TE

TE: 10 mM Tris/HCl (pH 8.0), 1 mM EDTA

組成濃度を含めた方法で表記(T10E1)することもあります

 

今日は初回なので,情報量は少なめにしました.

ウソです(笑).

これを書いている私が睡魔に負けそうってのが本当の理由です .

次回以降,様々な緩衝液の特徴と使い方を説明してこうと思います.

最後までお付き合いいただきありがとうございました.

次回もよろしくお願いいたします.

2019年12月4日 フール

テキストのコピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました