ウェスタンブロットの結果の見方【実験データの見方】

WBのデータの見方
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ウェスタンブロットの結果の見方【実験データの見方】

 

結果の見方が分からない

実験のやり方は分かったけど,結果の見方が分からない…

 

本記事は,このような「なぜ?どうして?」にお答えします.

 

こんにちは.

博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.

WBは,目的のタンパク質がサンプル中に存在するかどうかを確認する実験手法です.

電気泳動から目的タンパク質の検出まで複数のステップからなるため,結果が出るまでに1日~数日を要する実験です.

手間暇かけた実験が失敗すると,実験者のモチベーションはガタ落ちです.

それでは,どのようなデータが成功したもので,どのようなデータが失敗したものなのでしょうか?

先ずは,実験データの解釈の仕方を学んでいきましょう.

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サマリー・最初に見るのは,サイズマーカーのレーン

・次に,ポジティブコントロールとネガティブコントロールを確認

・最後に,サンプルのバンドとポジティブコントロールのバンドを比較

本日の課題

あなたは以下の実験結果をどのように解釈しますか?

そして,どのようなトラブルシューティングが必要だと思いますか?

WBの結果

図1 WBによるタンパク質xx*の検出
S:サイズマーカー
レーン1-6:サンプル(培養細胞のライセート)**
レーン7:ポジティブコントロール(人工合成のxx)**
レーン8:ネガティブコントロール(xxが非発現細胞のライセート)**
1次抗体:抗xxマウスモノクローナル抗体
2次抗体:抗マウス‐HRP標識抗体

*目的タンパク質xxのサイズは,80-90 kDa である.

**これらは全て SDS-PAGE 用のサンプル調整を行った.

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ウェスタンブロットの結果の見方を解説

全部で 6 つのステップがあります.

1つずつ確認していきましょう.

①初めに見る所のは,サイズマーカーのレーン

WBのサイズマーカー

全てのサイズマーカーがキレイに転写されていますね.

ココから,その他のタンパク質も同様に転写されていると考えることができます.

②ポジティブコントロールと③ネガティブコントロールを確認

WBのPCとNC

②ポジティブコントロールのバンドが,予想される位置(図1の*を参照)にキレイに検出できています.

これは,本実験のプロトコールが正常にワークしていることを示しています.

③ネガティブコントロールレーンには,何も出ていません.

これは,抗体の非特異的な結合や偽陽性が無いという意味であり,本実験の結果が正確であることを示しています.

④サンプルとポジティブコントロールを比較

レーン 1-6 で確認できたバンドの位置を,ポジティブコントロールのバンドの位置と比較します.

WBの結果の見方

サンプルレーンのバンドとポジティブコントロールのバンドの位置が同じですね.

②③④より,サンプル 1-4, 6 ではタンパク質xxが発現していたと解釈することができます.

⑤予想外の位置にバンドが見える場合

予想サイズとは異なる位置にバンドがあるサンプルがありますね.

これはどのように解釈できるでしょうか?

WBの結果を見る

③より,抗体の非特異的な結合によるバンドである可能性は低いですね.

⑤この別のバンドに関しては,2つの解釈ができます.

・抗体が認識するエピトープを含む別のタンパク質(アイソフォーム)を検出した.
・サンプル調整の段階でタンパク質xxが壊れて短くなり,部分的なxxを検出をした.

⑥バンドが見えないサンプルの解釈の仕方

サンプル5に関してはどうでしょうか?

タンパク質xxは発現していなかったと言えるでしょうか?

WBの結果の考察

サンプル5に関しても,2つの解釈ができます.

・タンパク質xxが発現していなかった 
・サンプル中のタンパク質xxが検出限界以下のため,バンドとして検出できなかった
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フールのトラブルシューティング

私は,トラブルシューティングとして,以下の2点を提案します.

1点目は,タンパク質xxのアイソフォームに関して文献検索およびデータベース検索を行いましょう.

同時に,サンプル2の調整方法を再検討しましょう.

サンプル調整のときに,加熱の温度を35-70℃まで下げて加熱処理をすることがあります.また,加熱を行わずに室温でインキュベートすることもあります.

2点目は,サンプル5のライセート調整に使用した細胞数を確認しましょう.

細胞数が少なかった場合,細胞数を増やして再度検証しましょう.

2.0×106 ~ 1.0×107 cells/mLとなるように細胞ライセートを調整します.それを10-15 μL(総タンパク質として10-30 μgに相当する量)を使用します.

もっと勉強したい方へ

・DREW, David, et al. Optimization of membrane protein over expression and purification using GFP fusions. Nature methods, 2006, 3.4: 303-313.

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本記事では,WBのデータ解釈の基本的な流れを解説しました.

いかがでしたでしょうか?

次回から,いわゆる「失敗」や「トラブル」と表現される事例を取り上げていきますね.

最後までお付き合いいただき,ありがとうございました.

2019年11月3日 フール