ゲル電気泳動の通電条件を比較【まとめ】

ゲル電気泳動の通電条件を比較する
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ゲル電気泳動の通電条件を比較【まとめ】

 

電気泳動の通電条件

電気泳動の通電条件って3つあるよね?それぞれ何が違うの?

本記事は,このような「なぜ?どうして?」にお答えします.

 

こんにちは.

博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.

今回は,前回の記事で復習した理科の知識を使って,定電圧・定電流・定電力を比較していきましょう.

 

サマリー・定電圧は,緩衝液の温度変化は少なく,安定しています.

・定電流は,泳動自体は早く終わりますが,緩衝液の温度が上昇します.

・定電力は,緩衝液の温度変化は少ないですが,高電圧になります.

ゲル電気泳動の通電条件を比較する前に

各々の説明に入る前に,知っておいて欲しいことがあります.

ゲルの数や厚さ・緩衝液の種類にもよりますが,電気泳動が進むにつれて抵抗が上昇します.

抵抗が上昇する理由は,イオンの置換が起こるからです.

緩衝液は,様々なイオンが含んでいます.

ゲル作製時に使うバッファー中には,導電率の高い Cl(塩化物イオン)が含まれています.

泳動時に使うランニングバッファー中には,導電率の低いイオン(グリシン,トリシン,酢酸,ホウ酸など)が含まれています.

電気泳動が進行すると,ゲル内の Cl が導電率の低いイオンに置換されていきます.

導電率の高いイオンが減って導電率の低いイオンが増えるので,電気がながれにくくなります

だから,抵抗が徐々に上昇します.

定電圧(Constant voltage [C.V/CV])

電圧が一定なので,オームの法則より,抵抗の増加に応じて電流が減少します.

ワットの公式より,電流の減少に応じて電力も減少します.

ジュールの法則により,電力の減少に応じて発熱量を抑えることができます.

電流が減少するので,泳動速度も低下します.

しかし,緩衝液の温度変化が少なくて済むので,バンド像の乱れ(スマイリングなど)が起こりにくいです.

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定電流(Constant current [C.C/CC])

オームの法則より,抵抗の増加に応じて電圧が上昇します.

ワットの公式より,電圧の上昇に応じて電力も増加します.

ジュールの法則により,電力の上昇に応じて発熱量も増加します.

電流が一定なので,泳動自体は早く終わります

しかし,緩衝液の温度が上昇するため,バンド像の乱れ(スマイリングなど)が起こりやすいです.

加えて,過剰な発熱は,ゲルの損傷装置の故障の原因となります.

定電力(Constant power [C.P/CP])

オームの法則より,抵抗の増加に応じて電流が減少します.

電力が一定なので,ワットの公式より,電流の減少に応じて電圧が上昇します.

ジュールの法則により,発熱量は泳動時間に依存します.

泳動時間が長くなればなるほど発熱量は増えますが,通常の泳動時間では,それほど問題になりません.

緩衝液の温度変化が少なくて済むので,バンド像の乱れ(スマイリングなど)が起こりにくいです.

電圧が上昇するので,電圧を制限していない高電圧電源を使用しているときは注意が必要です.

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次回は,より具体的な使い分けの説明をしたいと思います.

最後までお付き合いいただきありがとうございました.

次回もよろしくお願いいたします.

2020年2月1日 フール