【比較】実験室でよく使う消毒薬

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【比較】実験室でよく使う消毒薬

 

消毒に使う試薬って色々あるんですね…使い分けってあるんですか?

本記事は,このような疑問にお答えします.

 

フールの登場

こんにちは.

博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.

皆さんの実験室では,どんな消毒薬を使っていますか?

実験室内では,エタノールやイソプロパノールを使った消毒用アルコールが有名ですね.

でも,消毒薬はそれだけではありませんよ!

この記事では,獣医師でもある私が実験室でよく使う消毒薬を比較していきます

本記事を読み終えると,「とりあえずアルコールスプレーで」症候群が治りますよ!

サマリー・消毒薬は,用法や対象微生物を理解して使い分ける必要があります.

実験室でよく使う消毒薬

消毒薬は,対象微生物のスペクトルの範囲により3つの水準に分類されます.

  • 水準消毒薬:全て微生物を死滅させる(化学的滅菌が可能)
  • 水準消毒薬:一部の芽胞を除いて,ほとんどの微生物を殺滅する
  • 水準消毒薬:多くの栄養型細菌,一部のウイルス,一部の真菌を殺滅する
フールの登場

そして,私の職場の実験室では,以下の消毒薬を使用しています.

実験室でよく使う消毒薬の比較

フールの登場

それでは, 1 つずつ見ていきましょう!

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次亜塩素酸ナトリウム

ハロゲン類の消毒薬です.

作用機序は,次亜塩素酸(HClO)の酸化作用によるタンパク質・核酸の不活性化と考えられています.

高濃度(0.1% = 1000 ppm以上)では結核菌や非エンベロープウイルスも殺滅できるので高水準消毒薬に分類されます.

それ未満では,一般細菌やエンベロープウイルスに有効です.

フールの登場

効果は,pHによって変わります.

pH5~6 付近で HClO の濃度が高くなるので殺菌力も高いですが,それよりも酸性に傾くと塩素ガス(Cl2)が発生して危険です.

だから,市販されている商品の多くはアルカリ性に調整されています.

また,金属に対する腐食性もあるので,消毒する対象物の素材には注意しましょう!

実験室では,以下の用途で使用することが多いです.

  • 実験器具の消毒
  • 実験室の床清掃
  • 実験台の消毒
フールの登場

上記の用途の場合,濃度は 0.02 ~ 0.05% に調整して使用することが多いです.

ポビドンヨード

ポリビニルピロリドンというキャリアにヨウ素が結合した水様性の複合体です.

フールの登場

「イソジン」という商品名の方が聞き慣れている人も多いでしょう.

こちらもハロゲン類の消毒薬です.

作用機序は,アミノ酸やタンパク質をヨウ化(酸化)して不活性化すると考えられています.

芽胞を除く全て微生物に有効です.

実験室では,以下の用途で使用することが多いです.

  • 手指の消毒(実験動物の手術前など)
  • 手術部位の消毒

エタノール

エタノールを精製水で希釈して,エタノールの最終濃度が 76.9 ~ 81.4 v/v% としたものです.

作用機序は,タンパク質の凝固変性脂質の溶解と考えられています.

商品によっては,メタノールやイソプロパノールを含んでいるものがあります.

これはエタノールが飲食用に転用されることを防止するためで,用法や適用が変わるわけではありません.

フールの登場

ちなみに,メタノールやイソプロパノールを一定量含んでいると酒税法の対象外となるため安価になります

芽胞・非エンベロープウイルスを除く全て微生物に有効です.

実験室では,以下の用途で使用することが多いです.

  • 実験器具の消毒
  • 実験台の消毒
  • 手指の消毒

ただし,イソプロパノールはエタノールよりも脱脂作用が強いです.

手荒れが気になる人は,イソプロパノール不含のものを選びましょう

塩化ベンザルコニウム

逆性石けん(陽イオン性の界面活性剤)の1つです.

第四級アンモニウム塩と呼ぶ人もいます.

フールの登場

パコマ,オスバン,ベタセプトなどの商品名で覚えている人も多いかもしれません.

作用機序は,陽イオンが細胞膜と反応することによる細胞膜溶解と考えられています.

タンパク質変性作用や糖の分解作用もあると聞いたことがありますが,こちらの詳細は分かりません.

実験室では,以下の用途で使用することが多いです.

  • 手指の消毒(0.01 ~ 0.1%)
  • 粘膜・術創の消毒(0.01 ~ 0.1%)
  • 実験器具の消毒(0.05 ~ 0.2%)

グルコン酸クロルヘキシジン

ビグアナイド系の低水準消毒薬です.

フールの登場

ヒビテンなどの商品名で覚えている人も多いかもしれません.

作用機序は,細胞膜のリン酸基と反応して膜構造を破壊すると言われています.

実験室では,以下の用途で使用することが多いです.

  • 手指の消毒
  • 実験器具の消毒

【まとめ】実験室でよく使う消毒薬

今回は,実験室でよく使う消毒薬を比較してみました.

アルコールは消毒薬の1つであり,それだけが消毒薬ではありません.

消毒薬は多種多様なんです.

だから,用法や対象微生物を理解して使い分ける必要があります.

フールの登場

「とりあえずアルコールスプレーで消毒」だけは止めてくださいね!

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最後までお付き合いいただきありがとうございました.

次回もよろしくお願いいたします.

2021年8月22日 フール