【qPCRの解析方法】ΔΔCt法の解析をExcelで行う

ΔΔCt法の具体的な解析方法
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qPCRの解析【ΔΔCt法】をExcelで行う方法を解説

qPCRのΔΔCt法の計算方法は具体的にどうすればいいんですか?

こちらの疑問に本記事でお答えしています.

この記事を書いた人
フール

元研究者で獣医師/博士(Ph.D.)/派遣社員の研究員や臨床獣医師を経験/研究職への復帰を考えているバイオブランク/学歴が「身分の指標」ではなく「職務能力・専門能力の指標」として機能することを願う者/DeSci(分散型科学)の勉強中

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本記事の内容・ΔΔCt法の計算方法

・ΔΔCt法の標準偏差の計算方法

フールの登場

こんにちは.

博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事している元研究者のフールです.

最近,qPCRのΔΔCt法の計算方法に関する質問がいくつかありました.

ΔΔCt法の具体的な計算方法が見つからないので教えてほしい.

細かい内容はそれぞれ異なりますが,依頼内容は上記のような感じです.

最近の機器は優秀なので,Run終了後は解析も終了しています.

一方で,解析は有料ソフトウェアの購入が必要だったり,プレートデザインの関係で複数の実験系が混在しているなど,解析は自分でやらないとダメなケースはありますよね!

この記事では,ΔΔCt法の解析をExcelで行う方法をご紹介します.

サマリー・ΔΔCt法では,サンプル内補正とサンプル間の補正をする必要があります.

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ΔΔCt法の具体的な解析方法(基礎編)

ハウスキーピング(HK)遺伝子のどれかをサンプル内補正に使う内部標準として使います.

ハウスキーピング遺伝子の選定に関しては,以下の記事をご覧ください.

qPCRでハウスキーピング遺伝子を定量する理由
この記事では,qPCRでハウスキーピング遺伝子を定量する理由とハウスキーピング遺伝子の選定方法についてまとめました.本記事を読み終えると,qPCR 実験を自分ごと化することができますよ.

次に,サンプル間補正を行います.

Contorlでの標的遺伝子の転写量を1とした場合の各Groupにおける転写量を比較します.

フールの登場

例えば,次のような感じです.

ΔΔCt法の解析方法

フールの登場

Excelで入力している具体的な数式は次の通りです.

ΔΔCt法のExcelでの解析方法

補正を行うのに,どうして引き算?

割り算ではないの?

フールの登場

ΔΔCt法では,1サイクル(1Ct)の違いで差が2倍になるという前提条件を利用しています.

フールの登場

結果は2を底として指数を意味していて,例えば,「30.94」 は「230.94」です.今回の引き算は「乗数項の引き算」に該当するので,指数法則より「指数の割り算」をしていることになります.

なるほど~「30.94-23.36」 は「230.94÷223.96=230.94-23.36」って意味なんですね!

ΔΔCt法の具体的な解析方法(応用編)

フールの登場

さて,ここからが本番です!

実験のサンプル数が N=1 ならば,上記の解析方法で問題ありません.

しかし,現実は違いますよね!

N=3 とか N=5 のような実験が多いのではないでしょうか?

そして,平均値だけでなく,標準偏差やは標準誤差も算出したいはずです.

これから N=3 の場合の解析方法を2通り紹介します.

  1. ΔΔCt 値で解析する場合
  2. 2-ΔΔCt 値で解析する場合

ΔΔCt 値で解析する場合

フールの登場

ΔΔCt 値で解析する場合は,次の通りです.

ΔΔCt法の詳細な解析方法

フールの登場

Excelで入力している具体的な数式はこんな感じです.

ΔΔCt法の解析をExcelで行う

ΔCt値の平均値を算出し,各ΔCt値からControlのΔCt値の平均値を引いてΔΔCt値を算出しています.

そして,得られたΔΔCt値を基に,平均値と標準偏差(SD)を算出した後,2-ΔΔCtに代入します.

フールの登場

大切な点は,求めた標準偏差は対数関数正規分布に従うということです.

これを2-ΔΔCtに代入して真数にすると正規分布しませんので,標準偏差は下限値と上限値の区間として表示する必要があります.

2-ΔΔCt 値で解析する場合

フールの登場

2-ΔΔCt 値で解析する場合は,次の通りです.

具体的なΔΔCt法の解析方法

フールの登場

Excelで入力している具体的な数式は次の通りです.

詳細なΔΔCt法の解析方法

先ほどと同じく,ΔCt値の平均値を算出し,各ΔCt値からControlのΔCt値の平均値を引いてΔΔCt値を算出しています.

次に,ΔΔCt値を2-ΔΔCtに代入して各相対比を求めます.

そして,2-ΔΔCtの平均値を求め,各2-ΔΔCtControlの2-ΔΔCtで補正していきます.

最後に,得られた補正値を使って平均値とSDを算出します.

フールの登場

この場合,真数となった後の数値を使って計算していますので,SDを「±」で表現できます.

(1)と(2)はどっちの方が良いんですか?

フールの登場

数学的にはどちらも正しいと思いますが,科学的に妥当なのはどちらなのか…ごめんなさい!私も分かりませんw

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最後までお付き合いいただきありがとうございました.

次回もよろしくお願いいたします.

2022年4月30日 フール

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