本記事の内容「尿一滴で、自宅で簡単に受けられるがん検査」で話題の【N-NOSE】を使ってみたので,その体験談をまとめました.
こんにちは.
博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.
昨年末くらいから,東山紀之さんが出演しているCMをよく見かけます.
5年くらい前に「線虫が癌の有無を識別する」という内容の記事を何かで読みました.
癌の匂いを識別する犬が「癌探知犬」と呼ばれていたので,その時は「癌探知虫の発見だ~」みたいな言葉遊びした記憶があります.
尿で検査ができる!
私は注射が嫌いなので,採血不要な検査はぜひ実用化して欲しいと思っていました.
ただ,まだ研究レベルの話だったので,実用化はずっと先だろうとも思いました.
それが2020年から実用化されているとは知らなかったので,CMを見て「すぐに試してみよう」と思いました!
今回は,尿一滴で簡単に受けられるがん検査【N-NOSE】を使ってみたので,その体験談をまとめます.
N-NOSE(エヌノーズ)とは?
N-NOSE は,2020年1月に始まった新しいがん検査サービスです.
線虫が尿に含まれるがんの匂いを検知する習性を利用しています.
ちなみに, “N-NOSE” は “Nematode NOSE” の略で「線虫の鼻」を意味します.
研究開発者は,九州大学で線虫の嗅覚研究をしていた広津先生(現在は,株式会社HIROTSUバイオサイエンスの代表取締役)です.
きっかけは,広津先生が研究者時代に発表した論文でした.
研究から実用化までの詳細は,以下の書籍をご覧ください.
尿を使うので,採血が要らない!
私たちは,自宅で採尿し,それを提出するだけです.
健康診断の時の尿検査と同じですね!
私を含む注射嫌いな人たちには,とても嬉しい検査システムです!
HPによると,このサービスでは,15種のがん(胃がん,大腸がん,肺がん,乳がん,子宮がん,膵臓がん,肝臓がん,前立腺がん,食道がん,卵巣がん,胆管がん,胆のうがん,膀胱がん,腎臓がん,口腔・咽頭がん)の有無を検査してくれるようです.
価格は 12,500円(税込)で,これはがん検診でかかる費用の10分の1程度だそうです.
早速,私も体験してみました!
N-NOSEのサービス提供エリアを確認
HP を確認すると,検査を受ける方法は 2 種類あることが分かりました.
- 自宅に取りに来てもらう場合
- 指定の場所に提出する場合
自宅に取りに来てもらう場合
サービス対象の地域であれば利用できます.
家がサービス対象地域かどうかは,HPで確認できます.
ちなみに,自宅に取りに来てもらう場合は,検査料(12,500円)+ 集荷料金(2,200円)がかかりますよ.
指定の場所に提出する場合
家が集荷サービスエリアの対象外だった場合や交通費を出した方が集荷料金よりも安く済む場合は,コチラになりますね!
2021年11月26日時点では,仙台・東京(千代田区・新宿区・中央区)・金沢・名古屋・大阪・京都・広島・松山・福岡(福岡市・北九州市)・長崎・佐賀・熊本・大分・宮崎・鹿児島に提出する場所が用意されていました.
九州大学のグループが研究していたからでしょうか?
東日本よりも西日本(特に九州地方)での展開が先行していますね.
提出場所の詳細も HP で確認できますよ!
ちなみに,私の家は集荷サービスエリアの対象外だったので,指定の場所へ提出に行きました.
実際にN-NOSEを使ってみた
HP 上部の「検査を申し込む」をタップすると,検査キットを購入する前にマイページ登録が必要だと分かりました.
マイページ登録画面に進み,必要事項を入力&利用規約の確認をして登録しました.
マイページの登録が完了すると,指定したメールアドレスにメールが届きます.
続いて,検査キットを購入しました.
キャンセルは出来ないので,サービス対象エリアであることを確認してから購入してくださいね!
検査キットの到着
購入から1週間くらいで,検査キットが届きました.
ヤマト運輸のネコポスで,郵便ポストに投函されていました.
大きさは A4 サイズ位で,厚さは 2.5 cm くらいでした.
検査キットの中身
検査キットの中身は,9種類ありました.
- 検体提出手順書
- 検尿カップ
- スポイト
- 検体提出袋
- ジップ付き透明袋
- 採尿チューブ
- 保冷剤
- 保冷バッグ
- 提出ボックス
尿検体提出の予約と保冷剤の準備
指定の場所に検体を提出する場合,検体提出の予約が必要でした.
マイページにログインして,「尿検体の提出予約」から手続きしました.
次に採尿する日を決めて,その前日に保冷剤を冷凍庫に入れました.
採尿当日
採尿を終えたら,手順書の指示通りにチューブを収納し,それを保冷バックで包んで提出ボックスに入れました.
その日の内に,指定の場所へ提出に向かいました.
提出場所では,検体の確認と本人確認を行い,結果が出るまで4~6週間かかる旨を言われました.
検査は37の工程があり,それを数十回繰り返して確認するようなので仕方ないですね!
結果が届く
私の場合は 4 週間ほどで結果が届きました.
A4 サイズの見開き 1 ページのファイルが郵送で届きました.
ちなみに,ファイルが郵送で届くのは 2021 年末までに受付した場合のみで,2022 年からはマイページで確認するようになるようです.
スマホで見るとこんな感じです.
内容は紙版と変わりませんでした!
そして,気になる結果は C 判定でした.
詳しく見てみると,がんである可能性が低リスク~高リスクまで色分けしたチャートで描かれており,私のポジションが黒丸印(●)でマーキングされていました.
日本人のがん罹患率の平均を1とした時のリスク比は,0.3 ~ 0.4の間でした.
ただ,総合評価の欄には,
「線虫が一定以上の反応を示したために中程度のリスク値となりました.N-NOSEの再受験,さらに他のがん検査も受診することをおすすめいたします.」
とありました.
ちょっと予想外(笑).
てっきり低リスクとなると思ってましたから.
結果の受け止め方【私の場合】
N-NOSEの感度は 86.3% で,がんの一次スクリーニング検査としては有用なものだと思います.
欲を言えば,特異度・陽性反応的中率・尤度比などのデータも公開して欲しいですが.
気になるのはリスク比です.
この数値の説明は,
日本人のがん罹患率の平均を1とした時のリスク比
だけでした.
これは相対リスクのことでしょうか?
相対リスクと仮定した場合,この数値は検査結果と癌の関連の強さを表していると考えました.
これが “0.3 ~ 0.4” と低く “1” を下回っていたので,「すぐに何かしないと…」という焦りは感じませんでした.
今は,あまり気にする必要はないのかなという印象です.
検査後の流れ
ほとんどの自治体では,健康増進法に基づいたがん検診があります.
私が居住しているエリアでもありました!
でも,対象が40歳以上でした.
30代の私は対象外です.
リスク比が小さく且つ経済的な理由の方が優先度は高いので,私の場合は「時間を置いてもう一度N-NOSEを再受験する」と思います.
N-NOSEを使ってみた感想
既存の腫瘍マーカー検査は採血が必要ですが,N-NOSEは採尿で済みました.
注射嫌いな私には,とても快適な検査でした.
結果は予想外でしたが,一次スクリーニングの役割を十分に果たしていると感じました.
ただ,もう少し詳しい検査結果が知りたいと感じました.
N-NOSEは,15種のがんの有無を検査してくれますが…
どのがんのリスクが中程度なのか?
が分かりません.
これが分からないと医療機関の検診で,どの検査を優先して受けるべきか分からないですよね.
また,リスク比の説明はもう少し丁寧でも良いのかなと思いました.
さらに,私のような公費負担の検査が受けられない人には,例えば,「N-NOSEの再受験費用の10% OFF」みたいなクーポンがあったらいいな~と思いました!
以上,尿一滴で簡単に受けられるがん検査【N-NOSE】の体験談でした.
最後までお付き合いいただきありがとうございました.
2022年1月21日 フール