抗体検査のメリット・デメリット【抗体検査で分かること/分からないこと】

ウイルスに対する抗体ができるまで
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抗体検査のメリット・デメリット【抗体検査で分かること/分からないこと】

 

抗体検査のメリットとデメリットを教えてください!

本記事は,このような要望にお答えします.

 

こんにちは.

博士号を取得後,派遣社員として基礎研究に従事しているフールです.

新型コロナウイルス感染症の影響で,連日,「抗体検査」という用語を耳にしますね.

メディアやSNSを見ていると,今度は抗体検査万能説のような内容もチラホラと(笑).

やっぱり,医療や検査に関する情報って,分かりにくいし,伝わりにくいんですね.

この記事では,抗体検査のメリット・デメリット【抗体検査で分かること/分からないこと】をまとめました.

一応,元研究者ですので,分かりやすく解説したつもりです(笑).

本記事を読み終えると,抗体検査のメリット・デメリットが分かるようになりますよ!

 

サマリー・抗体検査のメリットは,感染歴が分かること.

・抗体検査のデメリットは,いつ感染したのか分からないこと.

抗体検査のメリット

感染症の検査方法でも書きましたが,抗体は,病原体が体内に侵入した場合に作られます.

だから,抗体検査は「過去に,病原体が体内に侵入した痕跡を検出する方法」です.

抗体検査のメリットは,感染者数(感染した個体数)を把握することできることです.

繰り返しますが,「抗体が作られる=過去に感染している」ということですから,

抗体検査で「抗体陽性」となった人は,「過去に感染していた」と判断する根拠になります.

抗体検査のデメリット

抗体検査のデメリットは,感染時期が分からない点です.

メディア等で話題の抗体検査キットでは,「抗体が陽性」となった人が「いつ感染したの?」という疑問に答えることは出来ません

ペア血清

感染症の抗体検査では,ペア血清という考え方があります.

これは,ある一定期間において,感染者(感染個体)がどのくらいかを調べる方法です.

例えば,季節性のある感染症を考えてみましょう.

先ず,季節の始めに採血をします.

次に,季節の終わりに採血をします.

季節の始めと終わりで,病原体に対する抗体の量(抗体力価)が64倍以上あれば,「あなたは,この期間に感染してましたね!」と言うことができます.

今回の場合,コロナウイルス感染症が問題となる前の血液と現在の血液を調べることができれば,コロナウイルスに感染したおおよそ時期も推定することができるでしょう.

でも,現実的ではありませんね.

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抗体検査の問題点

ココでは,抗体検査キットによる抗体検査の問題点について,まとめました.

抗体検査の問題点には,以下のようなものがあります.

① 抗体が作られない人もいる
② 抗体が少ない人もいる
③ 抗体ができるまでのタイムラグ
④ 抗体が防御に働くとは限らない
⑤ 抗体が悪さをすることもある

抗体が作られない人もいる

「抗体が作られる=過去に感染している」と強調してきましたが,例外もあります.

それは,抗体が作られない人もいる点です.

個人差(個体差)の影響が大きく,その理由もメカニズムも色々あります.

また,今回のコロナウイルスに,そのような現象があるのかも,まだ分かりません

ここで言いたいことは,抗体検査ではそういう人の感染歴を評価できないということです.

抗体が少ない人もいる

これも個人差(個体差)の問題です.

たくさん抗体が作られる人もいれば,ちょっとしか作ることができない人もいます.

感度の話になりますが,簡易抗体検査キットの場合,抗体が一定量以上ない人は,検査結果が陰性となります.

抗体ができるまでのタイムラグ

一般に,抗体ができるまでに3-4週間かかります.

だから,感染2週間後に検査を受けても,抗体は陰性となります.

詳細な検査(例えば,特異IgMの検出)を行えば,分からないこともありません.

しかし,そのような検査は,簡易抗体検査キットでは難しいです.

抗体が防御に働くとは限らない

ウイルスに対する抗体ができるまで

図は,ウイルスに対する抗体が作られるまでの簡単な模式図です.

ウイルスは,免疫系によりバラバラに分解され,各々パーツになります.

そして,抗体は各々のパーツに作られます.

また,図にはしてませんが,各パーツ対する抗体も色々(例えば,抗体A1-A100)です.

「抗体=感染防御に働く」という考えは間違いではありません.

しかし,全ての抗体が感染防御能を持っているわけではありません

検出した抗体が,感染防御能をもっているのかどうかは,別の検査(中和試験)必要です.

⑤ 抗体が悪さをすることもある

「抗体=感染防御に働く」のではなく,「抗体=感染増強に働く」という考え方もあります.

一部のウイルス感染症では,そのような例も報告されています.

しかし,その詳細は,まだまだ分からないことが多いです.

当然,今回のコロナウイルスに,そのような現象があるのかも,まだ分かりません

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以上,抗体検査のメリット・デメリット【まとめ】でした.

最後までお付き合いいただきありがとうございました.

次回もよろしくお願いいたします.

2020年4月28日 フール